電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2007.10.26
中国RoHS管理規則が施行され半年が経過しました。草案が出た当初は規制がどのようにされるか、戦々恐々の状態でしたが、今夏に日本企業が事情聴取を受けたとの情報もありますが、静かな状態になっています。
一方で、中国関連のニュースでは、水質汚濁、大気汚染や食品添加物問題などが大きく取り上げられて、環境政策の実行性に疑いをもつ発言も聞かれます。
5年に一度開催される中国共産党大会が10月15日に開催されました。この中で、従来の「経済発展が重視」から人々の暮らしを重視し、人間本意の社会を作る「和諧社会」を目指すとしています。背景には、「貧富の差の拡大」、「深刻な環境汚染」や「汚職の蔓延」といった社会問題があります。環境については 2006年に発表された「十一五規画」でも目標を定めた政策を明確にしています。
このような背景もあり、中国の環境規制は次のように日本と同等かそれ以上に厳しいものがあります。
日本の環境基本法に相当する法律です。第29条で「環境に深刻な汚染をもたらした企業に対して期限を定めて汚染を処理させる。」とあり、曾培炎副首相は 2006年12月に「産業の構造改革を進めて、環境汚染のひどい企業は淘汰するように」と発言し、深セン市や東莞市で環境汚染企業に対する取締りを強化し、めっきやプリント基板、捺染などの香港企業の5万社に環境対応設備を導入するか、移転するかの要求をしています。
日本と同様に中央政府が定めた規制値について、規制物質の追加、基準値の変更が環境保護法の第9条、10条で認められ、水濁法や大防法でも、操業停止などの厳しい措置が明確にしています。
ニュース番組などで中国での廃電気製品のリサイクル状況がよく報道されます。典型例として、「山の中でプリント基板を熱した王水(硝酸と塩酸混合液)で金を回収している」、「土間でCRTを作業者がハンマーで割る」、「電線ケーブルを野焼して銅を回収」などをしています。
2007年9月27日に「子物染境防治管理法:廃電子製本環境汚染防止管理弁法」が公布され、2008年2月1日から施行されます。第11条で「電子電気廃棄物は、国家環境保護総局の定める技術、設備により処理する。」とし、次の行為を禁止しています。
中国はバーゼル条約を批准しており、有害廃棄物の輸入制限をしていますが、廃棄物を再利用するため、固形廃棄物の輸入を国として認めています。しかし、処理は円滑にいかず大きな社会問題を起こしています。有害廃棄物制限、リサイクル品と偽る廃棄物規制などが強化されています。
リサイクル事業を行ううえでの規制もあります。自動車の解体事業では報廃機動車拆解環境保護技術規範(征求意見稿)があります。解体・破砕は、環境に対し無害な方法で行い、2次汚染を防止するなどの規制があります。
日本企業として把握しておくことが肝要な規制を次に示します。
このような法規制は整備されています。中国の古来の運用は「徐々に」、「急激な変化はさせない」で、RoHS管理規則が2ステップで運用するのもこの辺りからきているようです。また、違反に対する摘発は「典型的な違反は厳罰に処する」という考えもあります。広大な国土、13億の人口、4000年の歴史が底流にあるようです。
中国は運用が心配との声もありますが、環境保護行政処罰方法では、行政処罰を「警告」、「罰金」、「不法な所得の没収」、「生産または使用を中止命令」、「許可証・証明書の取消し」、「環境保護の法律・法規が定めたそのほかの種類の行政処罰」として、透明性もあります。
中国は大国であり多様な政策を展開していますので、紆余曲折はあるものの「環境政策」は徐々に厳しくなっていくと見て、企業対応するのが肝要に思えます。
(松浦 徹也)