EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
「物質および混合物の分類、表示および包装に関する規則((EC) No.1272/2008)(以下、CLP規則)」は、人の健康・環境の高いレベルでの保護ならびに物質および混合物の自由な移動を確実にするため、国連GHSに基づく分類や表示、包装などを定めた法規制です。
REACH規則と同様に、食品や医薬品などの他法規制で規制されている物質・混合物などを除き、EUで流通されるほぼすべての物質・混合物を対象としており、次の4つの主要な義務を課しています。
EU域内の製造・輸入者は、物質・混合物の上市前に、CLP規則附属書に定められた基準に従い、危険有害性の分類をしなければなりません。
各企業が基準に基づき分類すればよいのですが、分類対象の物質または混合物中の物質が、CLP規則附属書VIの「危険有害性物質の調和化された分類および表示リスト」に含まれている場合には、原則として同リストで定められた危険有害性の分類結果を使用しなければなりません。
EU域内の製造・輸入者は、上記の分類の結果、危険有害性の有すると分類した物質・混合物について、次の項目を記載したラベルを貼付しなければなりません。
EU域内の物質・混合物の供給者は、危険有害性のある物質・混合物を入れる包装材は、内容物が漏出しないようにしなければなりません。また、分類結果が急性毒性や皮膚腐食性などの所定の危険有害性に該当する物質・混合物を一般消費向けに供給する場合、触覚による警告や子どもの誤使用防止のための留め具を使用することが必要です。
EU域内の製造・輸入者は、次の条件に合致する場合には、上市後1カ月以内に所管当局であるECHAに、分類・表示に関する届出をしなければなりません。ただし、REACH規則の登録時にすでに分類・表示に関する情報が提出されている場合には、CLP規則に基づく届出は不要です。
届出された情報は、分類・表示インベントリーデータベースに収載され、一般公開されます。
このように、物質・混合物をEU域内で流通するにはREACH規則とともに、CLP規則にも対応することが求められます。なお、CLP規則は、1回/2年の国連GHSの改正や、附属書VI「危険有害性物質の調和化された分類及び表示リスト」の追加・更新等を反映するため、1回/年程度の頻度で繰り返し改正されています。