EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
「物質」とは、自然界にある化学物質や製造工程から得られる化学物質のことです。安定性を保つための添加物や製造工程由来の不純物は物質に含まれ、安定性に影響しない溶剤やその組成を変えずに分離できる溶剤は物質には含まれません。
REACH規則は、EU域内で製造または輸入する、すべての物質そのもの、および混合物または成形品に含有される物質に適用されます。
年間1t以上製造または輸入される、物質そのもの、および混合物または成形品に含有する物質、ポリマーを構成する2wt%以上のモノマー成分とそのほかの物質は、登録が必要です。
「混合物」とは、化学反応なしに、2つ以上の物質が混合あるいは溶液状になっているもので、塗料、インキ、ニス、合金などが該当します。混合物そのものの登録は不要ですが、混合物に含まれる物質は登録の対象となります。
なお、混合物は以前は「調剤」と呼ばれていました。
「ポリマー」とは、1種類以上のモノマー単位が連続した分子により構成される物質のことで、登録と評価の対象ではありませんが、ポリマーを構成する2wt%以上のモノマーとそのほかの物質は、以下の条件の場合に、登録が必要になります。
また、ポリマーの安定性を保つための添加剤や製造工程由来の不純物は、物質(ポリマー)の部分とみなされますが、ポリマーが上記以外の外観・物性向上のための添加剤を含む場合は、それらは調剤混合物または成形品に含まれる物質となります。
「中間体」は、ほかの化学物質を合成するために製造され、その合成プロセス中に消費・使用される物質のことで、単離されない中間体、サイト内で単離される中間体、輸送を伴う単離中間体に分けられます。合成プロセス中に完全に消費・使用され、不純物としての含有以外には最終製品に残らないため、REACH規則では特別の扱いとなっています。
単離されない中間体は、REACH規則が適用されません。一方、単離される中間体は登録が必要であり、一定の条件を満たす場合には、簡略化された登録が認められています。また、登録の一部と認可が免除されています。
物質の中には、以下のように、既存の法律で規制を受けているなど、REACH規則の対象から全面的に除外される物質や、一定の範囲で適用免除となる物質があります。
附属書IVには、大豆油や窒素などのヒトの健康や環境へのリスクが極めて少ないと考えられる40物質がリスト化されています。
附属書Vには、登録が不適切または不要とみなされて、登録が免除されている計13カテゴリーの物質がリスト化されています。登録は免除されていますが、認可や制限から免除されているわけではありません。
製品や工程を見極めるための研究開発(PPORD)目的に使用される物質は、欧州化学品庁に届出されている場合は、登録を5年間免除されます。この免除期間は、申請によってさらに5年間(物質によっては10年間)延長することが可能です。
以下の物質は、登録済みとみなされます。