EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
認可のシステムとは、人や環境に与える影響が非常に深刻で、その影響が不可逆的である高い懸念を有する有害な物質の、製造・使用のリスクを評価し、その製造・使用の可否を決定する仕組みです。
第57条に示されている以下のような認可対象候補物質(CL物質)が、認可の対象となり第133条4項の手続きを経て、第58条により物質が特定された場合、REACH規則附属書XIVに収載されます。
※CMR:(a)(b)(c)、PBT:(d)、PBT、vPvB:(e)
2018年8月現在、REACH規則附属書XIVに記載されている物質は43物質です。将来的には約1,500物質が収載されると見込まれています。
認可付与のための要件は、適切なリスク管理と社会経済的便益の2つがあり、要件に合致すれば所定の手続きを経て認可されます。
(1)適切なリスク管理
物質の全サイクルを通して、物質の放出、排出および損失などによって人の健康や環境への暴露が、悪影響を及ぼす閾値未満に適切に管理できる場合。
(2)社会経済的便益
安全レベルを決めることができない物質については、社会的経済的便益がその物質の使用から生じる人の健康または環境へのリスクを上回っており、かつ代替物質、代替技術がない場合。
制限のシステムは、人の健康や環境にとって受け入れられないリスクのある物質の製造、上市および使用について、EU全域で使用に対して制限条件を付けたり、必要であれば禁止することを目的とします。
この制度は、指令76/769/EEC(危険な物質および調剤の上市と使用の制限指令)の内容を引き継ぐものになっています。2018年8月時点でREACH規則の附属書XVII(ある危険な物質、調剤および成形品の製造、上市および使用の制限)には、エントリー#71までの収載があり、その制限条件が詳しく記載されています。
制限には、特定された物質の特定製品への使用禁止、消費者の使用禁止、完全な禁止などの種類があります。
新たな制限の設定プロセスには、欧州委員会・化学品庁の提案と加盟国の提案があり、リスク管理が十分でなくEU全域で対処が必要な場合に諸手続きを経て決定されます。