EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2007.11.09
REACH規則においては、人の健康や環境への影響に対して、高い懸念をもった物質の上市や使用に対し、用途ごとのリスク評価に基づいて認可する制度が取り込まれています。REACH規則の第55条には認可制度の目的が記述されています。
その目的を要約すると以下のとおりです。
REACH規則における認可制度の目的は、「高懸念物質からのリスクを適切に管理し、経済的および技術的に可能であるならば代替物質または代替技術への置き換えを推進し、EU域内市場を良好に機能させる」ことにあります。この目的のために認可を申請する製造者、輸入者および川下ユーザーは、代替利用可能性を分析し、そのリスクや代替の技術的および経済的実現可能性を考慮することが求められています。
認可制度は、REACH規則の第57条において、認可対象物質とすべき物質の基準(クライテリア)が規定されています。対象となっている認可対象物質の基準は、
指令67/548/EECに規定されているCMR物質 〔(a)発がん性物質、(b)変異原性物質、(c)生殖毒性物質〕 の区分1または区分2に該当する物質、
REACH規則の付属書XIIIに定められた基準に従って、
となっています。
認可の申請は物質の製造者、輸入者および/または川下ユーザーが化学品庁に対して行います。認可は、物質の用途に対して与えられ、期限付きの見直しの対象となっています。さらに、認可には通常は監視を含んだ条件が付けられます。
以上をまとめますと、認可は以下の事項を含んで与えられます。
認可のプロセスにおいては、前述の第57条の認可対象物質基準に対して、第58条の手続きを経て、第59条で認可候補物質リストが作成されます。
化学品庁は、附属書XIVにリストアップされる物質の決定にあたっては、加盟国専門委員会の意見を考慮に入れながら、含むべき物質の優先性を決定します。化学品庁は、2009年6月1日までに、附属書XIVに収載すべき優先物質の最初の勧告を行い、以降2年ごとに追加的な勧告を行います。
認可対象物質に対しては、物質個々に対して、(1)「認可が与えられない限り、物質の上市と使用が禁止される日付 (the sun set date:日没日)」と(2)「日没日以降も申請者がその物質を継続使用、または、ある種の使用のための製造を希望する場合、その日までに申請が受理されなければならない日没日の少なくとも18ヵ月前の日付」が特定されます。
すなわち、個々の認可対象物質は、認可されない限り、日没日をもって上市と使用が禁止されますが、少なくとも日没日の18ヵ月以前の(2)で特定された日付までに申請が受理される場合には、日没日以降も認可申請について決定が下されるまで継続して上市と使用が認められます。
また、認可保有者が期限付きの見直し期間以降も認可されている用途について、引続き当該物質の使用または上市の継続を希望する場合には、期限付きの見直し期間の少なくとも18ヵ月前に見直し報告書を提出しておくことが必要となります。この場合には、EU委員会が見直しにおいて、その認可を修正または撤回するまでは有効とみなされます。
(担当:瀧山 森雄)