EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2008.05.30
いよいよ、予備登録・登録が6月1日から始まる間際になって、ECHAのホームページで、一度に多くの情報が出されました。
1つは、待ちに待った「成形品のガイダンス」、このコラムでも紹介しました「唯一の代理人」について修正を行った「登録のガイダンス」が、ようやく公開されました。
2つ目は、先週末予告のありました、PPORD、登録有無の照会、および登録の際の情報提出の暫定的な手続きの発表です。
まだRIP3.8の最終報告書の内容と比較して詳細に読めていませんが、「成形品のガイダンス」では、調剤と成形品の境界、容器中の調剤か成形品からの意図的放出物質などの説明の例示を増やして、分かりやすくなっているようには思います。
情報提出の暫定的な手続きについては、REACH-ITの運用の信頼性がないために、6月1日から直ちに必要なPPORD、登録有無の照会、および登録の手続きの暫定的な方法を説明しています。
しかし、余すところ4日を残すだけになったこの時期での、上記の発表は遅過ぎた感は否めません。REACH規則の策定に時間を要したにもかかわらず、公布から施行までに時間が短すぎた感じが致します。
EU域内の川下企業の立場からすれば、ほとんどの場合、物質の製造者が登録すれば川下使用者はREACH規則に当面関係がなくなるので、慌てず、騒がず静観というところではないでしょう。他方、日本の企業にとっては、EUに輸出する製品・商品のほとんどが対象となる可能性があり、日本の企業の方々は対応に苦労しておられます。
考えて見ますと、REACH規則そのものが複雑で、EU27カ国を包括的にカバーするため、100%の完全な体制を整備することは所詮無理なのかもしれません。走りながら、考え、必要な修正を行って、全体が満足する制度に仕上げていくという感じがします。
4月14日に開催されたワークショップでの「REACHガイダンスの概要」紹介のプレゼン資料を見ますと、ガイダンスは次のような位置付けとして説明しています。
対応に迷うことが多いREACH規則の曖昧さで困っているわが国の企業にとっては、3番目の説明は言い訳ではないかと勘繰りたくもなりますが、逆に、REACH規則に準拠しながら対応を模索し、準備をすることしか、安全な道がないのかもしれません。
発表される情報を頼りにしなければなりませんが、とりあえずは、「予備登録」をすることで安全牌を手に入れておくことが大切なように思います。
(林 譲)