EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2008.10.24
REACH規則の予備要録期限をも余すところ、1ヵ月近くになりました。また、高懸念物質の決定の進捗も気になるところです。今回は、最近のECHA(欧州化学品庁)の発表された情報から、気になった事項を紹介します。
2008年10月7日に、2008年10月1日までに予備登録された物質のリストが発表されています。 この物質リストを見てみますと、おもしろいことに、登録免除になっている物質が予備登録されています。例えば、水、水素、窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、デキストリン、スターチなどは登録免除となっていますが、予備登録されたリストに載っています。
これらのうち、比較工業的にも多く使われていると思われるものの登録期限で、2010年11月30日になっているものが、水、水素、窒素、ヘリウム、スターチ、2013年5月31日になっているものが、酸素、デキストリンとなっています。この予備登録された情報からは、これらの物質を予備登録したのは、比較的大きな企業ではないかと思います。
ECHAからは、先にEINECS(European Inventory of Existing Chemicals:欧州既存商業化学物質)にリストされた物質すべてを予備登録したにEU企業の予備登録を無効し、今後は本当に登録する物質だけを予備登録するように呼びかけていました。おそらくは、この呼びかけはEU域内の企業に対するものと考えられます。
この呼びかけは今回発表の予備登録リストには反映されていないかもしれないのですが、予備登録のリストを見る限り、必ずしも、REACH規則を施行するための広報活動の成果は、EU当局の期待にはほど遠いのではないかと感じます。また、EU域内でREACH規則の内容について、どのあたりの企業にまで周知されているか疑問に思えてくるところです。
それに引き換え、予備登録を始め、REACH規則対応のために払われている日本国内の企業に方々のご努力には頭の下がる思いまします。
2008年10月7、8日に開かれたECHAの加盟国委員会で、先にパブコメが行われた16種類の認可対象候補物質のうち、次の14物質を認可対象候補物質に特定することに合意されました。
また、トリエチルヒ酸については、パブコメでのコメントがなかったことから、このまま候補になっています。他方、シクロドデカンについては、まだ、十分なデータがないことから、今回は見送られています。
上記の15物質については、認可対象物質候補として10月中に、ECHAのWebサイトに正式に発表される予定です。
ECHAのWebサイト
http://echa.europa.eu/home_en.asp
(林 譲)