EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2009.03.13
2009年2月27日に欧州化学品庁(以降「ECHA」)から「Evaluation Progress Report 2008 (評価進捗年報2008)」が発行されました。この報告書は、REACH規則第54条の「ECHAが義務を果たすために毎年2月28日までに前暦年に実施した登録一式文書の評価の進捗状況をWeb上で報告しなければならない」という規定に従って行われたものです。
評価業務の内容
1.一式文書の評価
ECHAは、以下の手順で評価を行います。
(1)登録一式文書の法規制の完全性チェック
(2)テスト提案が含まれている場合、不必要な動物試験や不必要なコスト発生を含んでないか、テスト結果は化学物質安全性評価プロセスと同等であるかの調査(REACH規則第40条)
(3)トン数帯ごとに受理した登録一式文書総数の少なくとも5%を選択して登録一式文書の適合性チェック(REACH規則第41条)
2. 物質評価
(1)加盟国監督機関(MSCAs)が提出された登録一式文書のすべてについて、個々の情報の評価行い、ECHAがその工程をコーディネートします。
(2)物質評価は、評価対象物質を選定した 共同体ローリング行動計画が採用された後に開始されます(REACH規則第44条)。
(3)最初の共同体ローリング行動計画は2011年12月1日までにECHAから加盟国監督機関に提出されます。
(4)REACH規則[第133条、第136条(1)および第136条(2)]には、旧法令でカバーされている届出物質、既存物質に対する移行規定があり、旧法令に基づいた情報提供要求が定められています。加盟国監督機関は、提供された新しい情報を調査し、評価を完了した時点でその結論と獲得した情報の使い方をECHAに報告します。
2008年に実施された評価概要
1. テスト提案
2008年にはテスト提案を含んだ完全な登録一式文書は受理されていなく、この目的に沿った一式文書の調査は行われていません。
2. 適合性チェック
(1)2008年には、登録一式文書の提出は94と比較的少数で、完全性チェックをパスしたのは、わずか10の登録一式文書でした。
(2)ECHAは、3つの登録一式文書の適合性チェックを行い、その中の1つを完了しています。この3つは、いずれもトン数帯が1〜10t/年の最小トン数帯です。
3.物質評価
(1)移行物質に関する新データの調査は完了することができていません。
というのは、産業界では旧法のデッドラインに従って新データ提出するまでの時間的余裕をもっているからです。
4. 潜在登録者への推奨 (リコメンデーション)
(1)ECHAが実施した少数の低トン数帯の登録一式文書の適合性を調べた限りでは、現時点で潜在登録者に推奨を行なうことは適当ではないと考えています。
(2)登録者は「データ提供マニュアル」に従って、一式文書の準備するようECHAはコメントしています。法規制完全性をパスするためにマニュアル5(How to Complete a Technical Dossier for Registrations and PPORD Notification)に特別の注意が必要です。
(瀧山 森雄)