EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2010.06.18
2007年に施行されたREACH規則も、予備登録物質の最初の登録期限が2010年11月30日に迫ってまいりました。EUでは09年5月にREACH-EN-FORCE-1をスタートさせ、EUおよびEEAでの予備登録、登録、およびSDSの順守情況の査察を行っていました。査察結果について、フォーラム注)から発表されましたので、その概要をご紹介します。
(注:REACH規則の76条(f)に規定されている、REACH規則の施行に責任がある加盟国の権限のある当局のネットワークを調整する施行情報交換フォーラムのこと)
REACH-EN-FORCE-1では、予備登録義務とSDSへの要求事項が順守されているか査察されました。2009年5月-12月の間、EU加盟国25カ国、およびノルウェーとアイスランドの約1,600社の査察が行われています。内訳は、製造者が878社、輸入者が666社、唯一の代理人が83社、および川下ユーザーが858社です。
査察の93%は予備登録とSDSについて、残り7%はSDSについて行われています。REACH規則不順守が24%もあったとのことです。
内容は、5条の"no data、 no market"の違反が2.6%、予備登録内容の間違いが5.6%です。また、必要なSDSが入手できていない会社が11%。20%の会社でSDSの言語やフォーマットの順守がされていませんでした。
査察結果の内訳は以下の通りです。
段階的導入物質を1t以上製造または輸入した会社が1,463社ありましたが、その内244社が28条(6)の適用を受けることができる、初めての1t以上の企業です。また、119社が物質によっては登録義務を順守していませんでした。
38社に、予備登録あるいは登録をしていない物質があり、81社には予備登録に要求される内容を満足していない物質がありました。
SDSについては、1,204社はSDSの要求事項を順守していましたが、93社ではSDSが入手できず、93社では一部しか入手できていません。985社では、SDSの記載言語〔31条(5)〕とフォーマット〔31条(6)〕の要求を順守していましたが、313社ではこれらの要求が守られていなかったとのことです。5,338のSDSの内容がチェックされましたが、その内808のSDSについて、SDSの記載言語やフォーマットが順守されていません。
これら違反に対しては、つぎのような措置がとられています。
措置 | 件数 |
---|---|
Blame and shame(非難と不面目)注) | 3 |
Letter of appeal(警告状) | 96 |
Administrative order(行政命令) | 169 |
Fine(罰金) | 12 |
Criminal compliant(刑事告訴) | 3 |
Others(その他) | 121 |
注:違法行為を公表するものと思われます
これに対してプロジェクトの期間に企業が行った対応は以下の通りです。
対応 | 件数 |
---|---|
採られた措置なし | 141 |
登録の約束 | 20 |
登録実施 | 1 |
その他 | 215 |
フォーラムでは、REACH-EN-FORCE 1の実施は成功しており、2010年11月30日に最初の登録が終了するので、2011年春まで査察は継続するとしています。
さらに今後は、例えばタイヤ中の多環芳香族炭化水素化合物(PAH)等の制限に関するプロジェクトも立ち上げる準備が進められています。また、川下ユーザーである混合物の製造者への査察も始まっています。
CLP規則も2010年12月1日から施行されることになりますが、このための体制つくりも行われ始めました。
(林 譲)