EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2010.08.27
米国の有害化学物質規正法(TSCA:Toxic Substances Control Act)の修正が検討されていましたが、米国議会の上院、下院の双方から、それぞれ改定案が提出されました。本コラムでは、これまでのTSCA改定に関する動きを整理し、TSCAの修正案の内容を今回と次回の2回に分けて紹介します。
米国では、REACH規則が発効して直ちに議会の要請で、GAO(Government Accountability Office)がTSCAとREACHの比較を行い、TSCAの問題点を指摘した報告書(PDFファイル)を公表していました。その報告書では以下の問題点が挙げられていました。
この後、オバマ政権が発足してから議会でのTSCAの改定の検討が進められ、上院では2010年4月15日に「S.3209 'Safe Chemicals Act of 2010'」が提出されました。また、下院では4月15日に公表された草案を修正して、7月22日に「H.R.5820 'The Toxic Chemicals Safety Act of 2010'(PDFファイル)」が提出されました。
両院から出された改定案の条文の細かいところでは異なるところがありますが、改定の方向性は同じです。下院の改定案H.R.5820による修正点としては、つぎのような事項が挙げられています。
下院の改正案が提出された1週間後の7月29日には、下院の「エネルギーおよび商業の委員会」の中の「商業、貿易および消費者保護の小委員会(Subcommittee on Commerce, Trade, and Consumer Protection)」で公聴会が行われています。
公聴会では、業界の代表者からは、改定案は4月の草案からは改善されてはいるが、まだ規制の方法が厳しすぎ、実行不可能なものであり、米国の化学工業会にはマイナスの影響があるなど深刻な懸念が表明されています。
他方、環境保護団体からは、改定案はこれまでの問題点を解決するものであり、議会での審議が進められることを強く主張しています。
次回は、企業に課せられる義務に関連する条文の改正の概要を紹介します。
(林 譲)