EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2011.11.18
前回のコラムでは、新規化学物質の登記に際しての危険有害性の判別基準、HJ/T154の改定案について紹介しました。
今回は、既存化学物質の新たな規制の動きについて紹介します。
既存の危険化学品については、従来から「危険化学品安全管理条例」で管理されています。この条例は改正(2011年3月2日に公布)され、2011年12月1日から施行されます(国務院令第591号)。
この改正では安全に対する規制が強化されます。改正条例では「有毒性、腐食性、爆発性、燃焼性、助燃性等の性質を有し、人体、施設、環境に対して危険性を有する劇毒化学品及びその他の化学品」として、監督機関が分類標準に基づき「危険化学品目録」を制定、公表し、必要に応じて調整するとしています。
現行条例の「危険化学品リスト」は、i)爆発性物品、ii)圧縮及び液化気体、iii)可燃性液体、iv)可燃性固体、v)自己発火性物品及び湿潤時可燃性物品、vi)酸化剤及び有機過酸化物、vii)有毒及び腐食性物等で、監督機関が共同で確定し公布するものとしていました。現在確定している「危険化学品」は、ホームページから検索できます。
この危険化学品には、下記の
の7分類に分けてリストが示されています。
7類の放射性物品にはリストされていません。
改正条例では、現行のリストに、GHSの分類基準GB13690に沿って、追加されるものと推測しています。2011年7月21日に「危険化学品リスト」の改定の合同会議が行われていますが、現時点(11月14日)ではまだ改定リストは公表されていません。
現行の「危険化学品安全管理条例」では、「危険化学品」の製造、輸入を行う企業は、その化学品の登記をしなければなりません。この実施の方法を決める「危険化学品登記弁法」も「危険化学品安全管理条例」の改正に伴い、改正案が10月9日に公表され、11月18日まで意見募集が行われています。
登記の対象の危険化学品は、改定される「危険化学品リスト」に収載されるものになります。登記は、地方の安全生産監督部門の危険化学品登記室に行い、「」の「化学品登記センター」(NRCC)が登記の管理を行います。
さらに、環境保護部の関係では、「危険化学品安全管理条例」のもとで、新たに「化学品環境管理登記弁法」が制定されます。その草案が10月18日に公表され、11月20日まで意見募集が行われています。
対象は「危険化学品登記弁法」と同じく、「危険化学品リスト」に収載されたものですが、その中から、新たに「重点環境管理危険化学品」として、下記に該当するものが特定されます。
これらの判別基準については、HJ/T154が採用されるか未だ確認できていませんが、この標準で考えておいてもよいのではないかと思います。
「危険化学品登記弁法」の登記は、地方の環境保護の監督部署へ行うことになっています。
「新規化学物質管理弁法」を中国版「REACH」と呼び紹介してきました。しかし、「新規化学物質管理弁法」を中国版「REACH」と呼ぶのではなく、「化学品安全管理条例」の改正、この改正に伴って改定される、あるいは新たに制定される登記に関する規定、あるいは使用に関する許可証の取得、先に公布されていたGHSに基づく分類、表示、MSDSの標準類をまとめて「中国的なREACH」の動向と考えた方がよいのかもしれません。
(林 譲)