EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2013.10.25
EU委員会が発行するBPR(殺生物性製品規則)に関するガイダンスノートの「処理された成形品」についてのEAQに関し、前回のコラム、前々回のコラムに続き処理された成形品のラベリングについて紹介します。
Q 処理された成形品の殺生物性特性に関する訴求(claim)とは何か?
A BPRの第58条(3)の文脈においては、訴求とは以下を示すまたは暗示する声明 (statement)である。
このような場合、処理された成形品の効能もしくは処理は、その訴求が実証されるよう証明されなければならない(実証された訴求を参照)。
Q 処理された成形品が、成形品を保護するために活性物質単独で一体化しているという声明とともに上市されている。この成形品はラベル表示されなければならないか?
A この声明は、その処理された成形品の殺生物性特性に関連する訴求である。従いそのような声明は、第58条(3)の第2文節でリストされているラベルリング情報の誘引(トリガー)である。同様な声明の例(それは処理された成形品の殺生物性特性に関連する訴求と見做される)が、処理された成形品に使用され、もしくは意図的に一体化している物質(主に保存剤)の型に従い下表に示されている。
PT6 貯蔵中製品の保存剤 | マイクロバイアルの低下を制御するための保存剤を含有 |
PT7 フィルム保存剤 | マイクロバイアルの低下を制御するための保存剤を含有 藻類の成長を制御する保存剤を含有 処理された成形品の初期の特性を保護するための保存剤を含有 |
PT8 木材保存剤 | 昆虫を含む木材破壊もしくは木材外観損傷有機体を制御する保存剤を含有 |
PT9 繊維、皮革、ゴムおよび高分子材料の保存剤 | 微生物学的低下を制御する保存剤を含有 処理された成形品の表面上に微生物が手違勅するのを防止するための保存剤を含有 処理された成形品上/中で臭気の発生を防止/予防する保存剤を含有 |
PT10 建築材料保存剤 | マイクロバイアルの低下を制御する保存剤を含有 藻類の成長を制御する保存剤を含有 |
PT11 液体冷却およびプロセシング用保存剤 | 病原菌、藻類およびムラサキガイのような有害な微生物を制御するための保存剤 |
PT12 スリミサイド | ヘドロ(スライム)の成長を制御する保存剤を含有 |
PT13 作業用もしくは切削用液体保存剤 | 金属、ガラスその他材料を加工、切削するための液体中で微生物の低下を制御するための保存剤を含有 |
PT18 殺虫剤、殺ダニ剤その他節足類を制御するための製品 | 昆虫を制御する殺虫剤を含有 殺虫剤を含有 殺ダニ剤を含有 |
PT19 防虫剤および誘引剤 | 防虫剤を含有 |
Q もし成形品が1つ以上の活性物質を含んでいる殺生物性製品で処理されているなら、ラベルはそれらのすべてに言及すべきか、または訴求の要因となっている活性物質のみか、活性物質の承認に対する条件はどのような要求となっているか?
A 成形品が1つ以上の活性物質を含んでいる殺生物性製品で処理されている場合、訴求されている殺生物性特性について寄与する物質ついてのみについて、また承認のためにどの条件がそう要求するかを述べなければならない。
Q 処理された成形品に寄与される殺生物特性に関連するBPRの第58条(3)において「実証されている場合」という用語により理解されるものは何か?
A 「実証されている場合」とは、「証明または証拠により表示される場合」と理解されるべきである。換言すれば、処理された成形品の製造者、輸入者が適切なデータを通して訴求を証拠だてすることができない場合にはラベルは処理された成形品に寄与される殺生物性特性についての情報を供給すべきではない。
また、これは一般製品安全に関する指令 2001/95の規定から当然の帰結である。
Q 公衆の健康訴求とは何か?
A 公衆の健康訴求とは、その処理された成形品が、もし、その成形品を上市した者により表明され、暗示されたように使用されるならば公衆の健康に適切な微生物に対して一定の利益を供給することを期待される声明である。
公衆の健康訴求は処理された成形品が特定の病原性バクテリア、ウィルス、菌類またはE,coli.S.aureus 、サルモネラSP、Streptococus sp、inflienza HINIウィルスのようなその他の微生物およびダニまたは蚊のような病気媒体、以下のようなもっと不特定の訴求に対して使用者またはその他を保護するための訴求をカバーする。
訴求に関連する公衆健康は、公衆の健康に関するそれらの潜在的インパクト故に、より大きな監視レベルに値しなければならない。
そのため、処理された成形品について、そのような訴求がなされる時には処理された成形品に主要な殺生物性機能を授与する。
Q 第58(3)の第1文節の条件は実現されないが、殺生物性製品がナノマテリアルを含むならば、ラベルにこれを表示する義務はないというのは正しいか?
A 処理された成形品がナノマテリアルを含んでいることをラベル上に表示する義務は、処理された成形品が殺生物性特性を持っているかもしくは活性物質を含んでいる時に、その活性物質の為の承認条件がラベリングを要求する場合にのみ適用される。
Q サプライチェーンの更に下位企業の義務は何か?ライフサイクルを通じて処理された成形品にはラベリングが残っていなければならないか?
A サプライチェーンのさらに下位の企業は、処理された成形品のサプライヤーは別としてさらなる義務はない。第58条(5)に従い当該サプライヤーは処理された成形品の殺生物性処理に関する消費者の要求に45日以内に回答しなければならない。
Q 殺生物性の訴求は、要求しているラベリングのためにどこでなされなければならないか?例えば、成形品が殺生物性特性に言及せずに上市されるが、成形品と一緒に供給される技術文書において、その成形品はまさに自身の保存以外の目的で殺生物剤で処理されていることを言及している場合。
A BPRはどこで訴求しなければならないかは明記していない。従い、もし訴求が成形品の技術仕様の一部として含まれており、殺生物性特性が訴求されるならば、それはラベル要求の誘引となる。
Q 処理された成形品に対するラベルはどこに貼付しなければならないか?処理された成形品そのものに貼付しなければならないか、または取扱説明書、包装上でも可能か?
A BPRは、第58条(6)で「処理された成形品のサイズまたは機能に起因し必要な場合、ラベリングは包装上、取扱説明書上、保証書上に印刷されるべきである。―もし加盟国がそれ以外を規定しなければ」と規定している。
これは、他のすべての場合、デフォルトにより、ラベルは成形品そのものに貼付されることを暗示している。それゆえにラベルが成形品そのものに貼付されるか(その場合はラベルはそこに貼付される)、または包装もしくは声明書上に貼付されるかは、サブライヤーの判断事項である。
Q BPR第58条(3)と(4)の関係はどのように理解されるべきか?人および環境を保護するために、いかなる場合にラベルが必要となるかを誰が決定するのか?
A これについては処理された成形品が人または動物、環境に対して呈するかも知れない可能性あるリスクを考慮して当該リスクを最小化するために最終消費者に使用のためのあらゆる関連する取扱説明書が供給されるかどうかを見るために処理された成形品を上市する者の責任である。
これはまた一般製品安全に関する指令2001/95の規定から当然の帰結である。
Q 殺生物性製品で処理されたもしくは一体化している中間物や原材料はラベル表示される必要があるか?
A もし、これらの中間物または原材料が処理された成形品の定義に適合しており、それらがEU市場に上市されれば、第58条(全体)の規定がそれらに適用される。これはラベリングに関する規定の順守が必要であるばかりでなく、これらの中間物または原材料を処理するために殺生物性製品に含まれている活性物質に関する規定をも意味する。
Q 分野特有の同等のラベリング要求が既に存在する場合、それらを特定するケースに関してなされるために何が必要か?
A これはコントロールの場合、処理された成形品に対して分野特有の法令を通してラベリング要求が処理されることを規定するため処理された成形品を上市する人のためおよび分野特定の法令に依存する。
Q 特定オーダーに適合するよう設計、製造された処理された成形品に関連するBPRの第58条(6)の規定は、どのように理解されるべきか?
A この規定は、シリーズの一部として製造されていない処理された成形品のみに適用する。それは、顧客に供給されるべき情報を伝達するために使用されうる意味に関してある程度の柔軟性を提案する。しかし、この情報の内容に関してではない。
Q 例えば、その中に含まれている活性物質の洗落ちのためにその活性物質機能が時間的制限されるかもしれない場合、処理された成形品のラベル上に有効期限を表示することは義務であるかまたは容認すべきことであるか?
A 処理された成形品上に有効期限を表示することは要求できない。しかし、もし、それが有益であると思うならば、成形品の製造者は自身の意思でそれを行うことはできる。
Q 処理された成形品のラベル上に「抗菌性」と表示することは認められるか?
A そのような訴求は、処理された成形品の殺生物性機能に関連する訴求で公衆の健康に関連した訴求であると見なされる。それ故、その処理された成形品は主要な殺生物性機能を持っていると考えられる。それはその処理された成形品は殺生物性製品と見做され、それ自体認可されなければならない。
他方、「微生物性の低下に対する防腐剤を含有する」のような声明は、処理された成形品の殺生物性特性に関連する訴求と見なされる。しかし、処理された成形品の殺生物性機能に関してではない。
(瀧山 森雄)