EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2016.05.20
化学物質による人の健康と環境の保護のために、化学物質関係の法規制の整備が行われています。EUのREACH規則、CLP規則でも順次、必要な改訂が行われています。
今回のコラムでは、CLP規則に新たに追加される附属書VIIIの最終草案が欧州委員会で策定されました1)ので、その概要をご紹介します。
CLP規則第45条では、加盟国は、混合物を上市する輸入者と川下ユーザーから、予防と治癒的な措置、特に緊急の健康対応における措置を策定するために、関連する情報を受領する機関(毒物センター;Poison Centre等)を任命することが求められています。混合物の輸入者と川下ユーザーは、任命された機関に上市する混合物の成分情報、健康または物理的な危険有害性の情報等を提出することが必要となります。これにより、医師、プロユーザーや消費者は、任命された機関に連絡すれば、中毒の治療のためのアドバイスを貰うことが出来るようになります。
任命される機関としては、既に、ECHAに毒物センター(Poison Centres)2)が、また加盟国にもこれらの義務と責任を果たす毒物センター等の機関が設立されています3)。
今回策定されましたCLP規則附属書VIIIの草案は4)、上記第45条に基づいて輸入者、川下ユーザーが提出する混合物の情報、すなわち、「緊急健康対応に関する調和化された情報」を規定するものです。
情報を提出しなければならない混合物は、健康および物理化学的な危険有害性のある混合物です。ただし、危険性のうち、加圧ガスおよび爆発物のみに該当する混合物には適用されません。また、研究用、SR&D、PPORD用の混合物にも適用されません。
情報の提出者は、ECHAから提供されるシステムによる「固有の成分識別子:UFI(Unique Formula Identifier)」を作成する必要があります。UFIは英数字から構成されるコードで、混合物の組成から特定の混合物に一義的に対応出来るものです。このコードは、混合物のラベルや包装に記載することが必要になります。化学物質についてはEC番号やCAS番号等が付与されていますが、UFIは混合物のEUで使用する固有コードといえます。
適用時期は、混合物の用途毎に異なり、下記のようになっています。
提出が必要な情報は下記の情報です。
この草案は、2016年2月11日にWTO/TBT通報がされています。今回の草案が欧州委員会で決定されたことから、今秋には公布される見通しです。
(林 譲)
1)https://poisoncentres.echa.europa.eu/news
2)https://poisoncentres.echa.europa.eu/home
3)http://ec.europa.eu/growth/sectors/chemicals/poison-centres/index_en.htm
4)http://ec.europa.eu/growth/tools-databases/tbt/en/search/?tbtaction=search.detail&
Country_id=EU&num=350&dspLang=EN&basdatedeb=&basdatefin=&baspays=HUN&basnotifnum=30
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