EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2016.06.17
REACH規則の予備登録された年間1~100トンの登録期限2018年5月31日まで、残すところ2年を切りました。
ECHAでは、昨年2015年1月に「ECHA's REACH 2018 Roadmap」1)を公表し、これからの登録者の余裕を持って準備するように呼び掛けていました。
REACH規則では、年間1~100トンの予備登録物質のうち、年間1~10トンの物質で、附属書IIIの判定基準に適合しない物質については、登録に当たって提出しなければならない情報のうち、毒性情報、生態毒性情報の提出は不要で、物理化学的性質だけのデータの提出で登録ができることになっています(REACH規則第12条)。
2016年4月にECHAから「REACH規則附属書IIIの基準が適用される登録者の支援戦略」2)が発表されていましたが、この中に「REACH規則附属書III基準に適合する可能性のある物質リストを公表する」としていました。このリストが2016年5月18日に「附属書IIIインベントリー」として公表されました3)。
「附属書IIIインベントリー」には、現在、約65,000物質がリストされています。これらの物質は、予備登録された物質のうち、まだ登録されていな物質を、公開されている試験情報や(Q)SARモデルを用いて、附属書IIIの判断基準に適合すると予測されたものです4)。
附属書IIIの判断基準は、下記の通りです。
(a)発がん性、変異原性又は生殖毒性に関する区分1A 又は区分1B の分類基準(CMR物質)又は附属書XIIIの基準(PBT、vPvB)に適合すると予測される物質((Q)SARs の適用又は他の証拠による)
(b)下記2つの条件に該当する物質
「附属書IIIインベントリー」に収載された物質は、未登録の予備登録物質から次のようにして抽出されています。
上記で使用された(Q)SARモデルや試験データについては、「REACH規則附属書III基準に適合すると疑われる物質インベントリーの作成 技術文書」に詳細に記載されています6)。
このインベントリーに収載されていなければ、附属書IIIに適合しないことを意味するものではありません。他方、この物質がインベントリーに収載されていても、十分な情報を準備することが出来、それが認められれば、物理化学的情報だけで登録することができます。具体的にどのように対応するのかは、「附属書IIIインベントリーのアプリケーションの例」7)で説明されています。
なお、IUCLID 68)の新しいテンプレートでは、附属書IIIの基準に該当するかを確認することが出来るようになっているとのことです。
参考資料
1)http://echa.europa.eu/documents/10162/13552/reach_roadmap_2018_web_final_en.pdf
2)http://echa.europa.eu/documents/10162/2621167/echa_annex_iii_strategy_en.pdf
3)http://echa.europa.eu/information-on-chemicals/annex-iii-inventory
4)http://echa.europa.eu/documents/10162/22332820/annex_iii_preparation_inventory_en.pdf
5)http://echa.europa.eu/information-on-chemicals/annex-vi-to-clp
6)http://echa.europa.eu/documents/10162/22332820/annex_iii_preparation_inventory_en.pdf
7)http://echa.europa.eu/documents/10162/22332820/annex_iii_examples_en.pdf
8)https://iuclid6.echa.europa.eu/view-article/-/journal_content/title/na-29-04-2016-iuclid-6-is-available
(林 譲)