EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則では、年間1t以上製造・輸入されるすべての物質、調剤中の物質および一定の条件に該当する成形品中の物質を登録する義務があります。
年間1t以上製造・輸入されるすべての物質は登録する義務がありますが、調剤自身に関しては登録の義務はありません。しかし、調剤の製造・輸入者は調剤を構成しているすべての物質が、その用途にあった登録をされており、曝露シナリオにより適切にカバーされているかどうかを確認する必要があります。もし、それらがなされていなければ、その調剤の処方者は供給者に自分の用途を伝えたうえで暴露シナリオに基づいたリスク評価を要求するか、処方者自身で上記の対応(暴露シナリオに基づいたリスク評価) を実施する必要があります。
調剤に含有する物質が指令67/548 /EECまたは指令1999/45/ECの危険性の分類基準に該当する物質や附属書XIIIに定めるPBT物質、vPvB物質に該当する場合、もしくはそれ以外の理由で、当該物質がREACH規則第59条 (1)に従い附属書XIVへの掲載候補リストに含まれる場合には、REACH規則第31条に従い、川下事業者に安全データシート(SDS)を提供しなければなりません。しかし、附属書II(安全データシートの編纂に対する手引き)には、組成と成分に関する情報について、「その組成およびそれらの濃度の一般的記述は有用であるが、完全な組成(その構成成分の種類および濃度)を提供することは必要ではない」となっています。
サプライチェーンにおける情報伝達のルールとして、上記のREACH規則第31条のほかにREACH規則の第32において、リスク管理に関する入手可能で適切な情報のある物質でSDSは必要ないものについて、その情報をサプライチェーンの次の行為者に提示することを要求しています。その場合、入手可能であれば、少なくとも登録番号は提供されるべきです。このことは、次の行為者が、何らかの必要な管理を実施することを可能にします。さらに、調剤に含まれているある有害な物質は濃度が基準以下であればSDSには含まれませんが、この条項は必要な情報がサプライチェーンを通じて伝達されることを確実にし、適切なリスク管理対策が特定され、適用されることを可能にします。しかし、供給者は、調剤に含まれる危険でない物質についての実際の濃度データを提供する必要はありません。
REACH規則上は、年間10t以下の場合CSRは不要となっています。SDSはCSA(CSR)の結果ですから、10t以上の大手のSDSと貴社が作った場合のSDSは内容が異なる可能性があります。調剤の顧客はSDSで企業選択するとは思いませんが、10t以上の生産者の差別化戦略に巻き込まれる恐れがあります、SDSは暴露シナリオ、暴露アセスメントを入れて差別化することも検討項目になります。
年間1t以下の場合、登録義務はありませんが登録できないこともありまん。同様に、大手購入調剤は登録番号があるが、当社にはないとなった場合も考えられます。一部大手メーカーは予備登録しないで一気に6月1日に本登録をするとしています。登録番号を入手し差別化するためです。
当社にとってこの調剤がメイン商品であればこのような経営リスクマネジメントとして検討する必要があると思います。