EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
EUでは、カルテル行為を競争法で制限しています。カルテル行為の定義は次です。
REACH規則前文48では、競争性規則を侵害しない«(48)This Regulation should be without prejudice to the full and complete application of the Community competition rules.»と理念を明確にしています。SIEF、コンソーシアムの参加者の制限、データ共有制限など参加はオープンであり、カルテル行為の要件となる「特定の者またはそのグループを排除すること」にならないようになっています。
また、域外企業の共同登録制限など微妙な表現もありますが、域外企業の域内の輸入業者または唯一の代理人が域内企業と同等の扱いを受けるなど規則本文、FAQなどの関連事項は競争法を意識した表現となっています。
ただ、カルテル行為とされる懸念もあります。
12年以内に登録された物質の情報は共有する義務があります。規定では、「情報共有の費用分担が公正、透明、非差別的な方法で決定するように努力する義務がある」とされ、「合意された場合は利用でき、合意に達しない場合は化学品庁が対応する」となっています。もし、先行登録者が交渉を引き延ばした場合は、先行登録者の製品しか流通しないことになります。
先行登録者は他社の場合もありますし、逆にデータ請求を受ける立場にもなります。運用という部分でグレーな部分の可能性が否定できません。
TBT協定による日本意見に次があります。
「受益の程度に応じて負担をすることが「公平なコストシェア fair cost sharing」に最も資すると考えられるが、製造・輸入数量に応じたコストシェアを事業者間で行うことは、競争法の適用、営業秘密の保護などの関係で現実には極めて困難である。」
「コンソーシアム内でのコストシェアの調整を製造・輸入数量を基礎として適切に行うためには、欧州化学品庁など公的な機関が関与すべきである。コンソーシアムの形成、運営管理については、情報の提供、運営などについて、公平性、透明性が確保されるよう、ルールの明確化を図るとともに、その管理にあたっては、公的な機関が適切にその運用状況を監視すべきである。」
このような懸念を踏まえて、日本の大手企業では、域内企業と共同で登録をする動きがあります。