EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則で登録の対象になるのは物質であり、調剤は登録の対象になっていません。ただし、調剤中に含まれる物質が年間1t以上あり、これがサプライチェーンの上流で登録されていないときには登録の必要があります。
EU内のユーザーが、貴社に登録を求めてきた背景を考えてみますと、ユーザー側で、この調剤に含まれる物質が、ユーザーが取り扱う他の調剤、または物質と合計すると1tを超えてしまう可能性が出てきたためではないかと推測されます。このとき、本来であればEU内のユーザーが予備登録をする必要がありますが、その物質が川上で登録されていればユーザーには登録の義務はありません。したがって、コンペチターが当該物質を予備登録すれば、注文をそちらに取られる可能性はあると思います。
この場合、もっとも一般的な対応としては、ユーザーに調剤中のどの物質の登録を要請しているのかを確認し、貴社がその原料物質を購入しているメーカーに対して予備登録をしてもらうよう依頼することです。
諸般の事情で、そのメーカーが登録に応じない場合、貴社が1t未満でも登録するかどうかを営業的見地から判断しなくてはなりません。本登録をするためには、必要な情報の収集、場合よってはテストの実施、書類の作成、欧州域内における唯一の代理人の指名、登録料の支払いなどが必要になります。その費用対効果を考えると、当該ユーザーだけのために本登録まで行うことが必要かどうかの判断になると思います。
逆に、コンペチターが登録しないで、貴社が登録すれば、注文を独占できるビジネスチャンスになります。コンペチターの動向や、当該物質の予備登録の状況について情報を入手したいということであれば、物質情報交換フォーラム(SIEF)に参加するという方法があります。
物質交換フォーラム(SIEF)には、予備登録者は参加が義務付けられていますが、それ以外に年間1t未満の物質の取扱者でその物質に関する情報をもっていれば参加が可能です。
本登録は1t以下でも行えます。対象物質はCMR物質でないので、1〜10t帯の物理化学的性質に関する情報で登録することになり、技術データは軽減されます。