EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
包装および包装廃棄物に関する指令(94/62/EC Council Directive 94/62/EC of 15 December 1994 on packaging and packaging waste)では、第11条1項に「包装材または包装材部品に含まれる鉛、カドミウム、水銀および6価クロムの濃度レベルの合計が100ppmを超えないこと」と規定されています。
また、貴社が製造される樹脂製パレットは同指令における「第3次容器包装(輸送用)transport packaging or tertiary packaging(複数の販売ユニットの取り扱いと輸送を容易にするための容器包装)」に該当し、同法の適用を受けることになると思われます。同法ではリサイクル材料を使用した場合や、製造工程などでのコンタミネーションがあった場合でも特例は認めていません。
一方REACH規則においては、貴社製品は成形品(Article)とみなされるため、REACH規則第7条の適用を受け、以下の要件に該当する場合は、含まれる化学物質の「登録」または「届出」が必要になります。
含有物質が次の条件を満たす成形品の製造者・輸入者は、当該含有物質についての登録が必要です。
含有物質が以下の条件を全て満たす成形品の製造者・輸入者は、当該含有物質についての届出が必要です。
(注)その物質が、REACH規則の附属書XIVに記載される認可対象候補物質(高懸念物質SVHC)に該当する物質である場合。
ただし、成形品の製造者・輸入者が、正常もしくは通常予想される使用条件(廃棄を含む)において、成形品中の化学物質が人または環境中への暴露を排除できる場合は届出が除外されます。
また、当該含有物質が同じ用途で既に登録されている場合は、登録および届出の対応は不要となります。
さらに成形品中のSVHC場合は、貴社には川下企業への情報伝達義務も発生しますので注意が必要です。詳しくは2008年10月31日付コラム「REACH規則に見る情報伝達義務」をご参照ください。
現時点では認可対称候補の15種類の高懸念物質(SVHC)が特定されいます。候補物質は順次追加され、最終的には約1,500種類になると言われていますので、今後もその動きに注意が必要です。
REACH規則への対応の詳細は、環境省仮訳、成形品ガイダンス(PDFファイル)をご参照ください。
上述のEU規制などに対応するため、貴社は以下のようなリスク管理を推進されるようお勧めします。
貴社が再資源化されている家庭排出のプラスチック製容器包装の大半は食品容器と思われます。食品容器は「食品衛生法」(昭和22年制定)の「合成樹脂製器具又は容器包装の規格基準(PDFファイル)」[最終改正 平成18年3月31日厚生労働省告示第201号]により、含まれてはならない物質の個別基準が定められています。また、日本プラスチック工業連盟では、食品用プラスチック製品の業界の自主基準を定めています。
以上のことから食品容器については、比較的有害物質の含有規制が厳しく管理されているものと判断できます。
前述の通り、食品容器とそれ以外の一般リサイクルプラスティックの選別レベルの向上を調達先へ要請することにより、貴社での管理の簡素化と精度向上を図ることができると思います。
規定の重金属である鉛、カドミウム、水銀、6価クロム、SVHCに関してリサイクル材料の一定のロットごとに含有量を分析し、最終商品の総重量比に対して規制値を超えないことを担保するなどの対応が必要と思われます。