EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則においては、年間1t以上の物質そのものおよび調剤中の物質、並びに一定条件を満たす成形品中の物質について登録を行う義務があります。しかし、EU域外で物質を製造し、調剤を調製し、成形品を生産する自然人または法人は自ら物質を登録することはできません。そのため同規則第6条または第8条において、EUに輸入される物質の登録はEUの「輸入者」あるいは「唯一の代理人」が行うことと定められています。そして、前者の「輸入者」が登録手続や付帯して発生するREACH規則の技術的な対応などが十分でないときは、「唯一の代理人」の活用をお勧めいたします。
唯一の代理人は登録などの実務を行うこととなりますが、これを行うのは化学物質の知識と実務経験のあるEU域内のコンサルタント会社や各種試験機関等に限られます。これらのコンサルタント会社や各種試験機関は、唯一の代理人業務のほかにコンサルタントや化学物質の検査などのREACH規則に関するワンストップサービスを提供しており、社団法人 日本化学工業協会のホームページにREACH関連サービスを提供する組織が紹介されています。
また、唯一の代理人を活用する場合の費用につきましては、依頼する登録物質の数やその登録内容によって金額が大きく異なりますので、具体的な費用は唯一の代理人またはその仲介業者に問い合わされることをお勧めします。
さらに、登録費用につきましては、2008年5月16日付けコラム「REACH規則に規定されている手数料および料金の決定」に詳しく記載しておりますので、併せてご参照ください。
また、本コラムに記載のある手数料・料金に加え、REACH規則では同じ物質を複数の製造者・輸入者が登録する場合に、登録者が当該物質に係るデータを所有する他の登録者に対して支払う費用も定めています。つまり、「一物質一登録」の考えのもと、脊椎動物を使った試験などの重複を防ぎ、試験データを共同で提出することにより企業が負担する費用を軽減することを目的に、段階的/非段階的導入物質について登録者間のデータ共有を促進する規定があり、これによりデータを受領した登録者がデータを提供した登録者に対して対価を支払うことになります。このデータ費用につきましては、「REACH規則の基礎」(「登録」・「情報共有とSIEF」)で詳しく説明しておりますのでご参照ください。