EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則は、EU域内の法規制であり、原則としては、貴社の混合物輸出先であるEU域内輸入業者が義務を負うことになります。ただし、サプライチェーンの川上にあたる域外業者(ここでは物質メーカー)によって任命された唯一の代理人が登録を行っている場合には、EU域内輸入者は川下ユーザーとして位置づけられ、登録義務の対象外となります。
ご質問にある貴社の取引先 (混合物メーカー)が今後行う混合物中の物質組成変更や物質メーカーの変更は、川上の物質メーカーに関連する変更情報ではありません。したがって、上述の変更情報は、現在の物質メーカーおよび物質メーカーが任命している唯一の代理人には情報共有されることはなく、貴社の輸出先の域内輸入業者に変更情報が通知されることはありません。
つぎに、混合物メーカーの変更内容を「物質組成の変更」と「物質メーカーの変更」に分け、貴社の対応の必要性を整理します。
(1)物質組成の変更
REACH規則では、混合物中の物質が登録対象であり、混合物そのものについては、登録は求められていません。混合物メーカーによる組成変更が従来の物質を利用したものであれば、すでに登録済の物質を利用していることになり、貴社はこれまで通りの対応を継続すればよいことになります。
(2)物質メーカーの変更
REACH規則での登録は、同一サプライチェーンの川上業者によって登録済であれば、貴社の輸出先は川下ユーザーとなり、登録は求められません。
物質メーカーの変更は貴社の輸出先が川下ユーザーとなるか否かに影響を与えます。変更後の物質メーカーが現在の物質メーカーと同様のREACH対応(唯一の代理人を任命し、予備登録を実施)をしていれば、貴社もこれまで通りの対応でよいことになります。すなわち、混合物メーカーへは、変更後の物質メーカーの唯一の代理人へは貴社の輸出先の情報を伝達してもらい、輸出に当たっては、変更後の物質メーカーの(予備)登録番号やこれを証明する書類を入手し、インボイスに添付することが必要となります。
しかし、変更後の物質メーカーがREACH対応をしていない場合には、貴社製品の輸入業者は川下ユーザーではなく、登録義務を有する輸入業者として位置づけられることになります。
このように、物質メーカーの変更といった混合物中の物質の登録有無に関連する情報を貴社が入手することが必要不可欠となります。そのため、混合物メーカーと貴社との間で情報提供に関する取り決めを事前に行い、貴社がREACH規則の順法証明を行うために必要な情報を入手できる体制を構築しておくことが必要であると考えます。