EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則における成形品中のSVHC濃度が0.1%以上である場合の届け出(7条2項)および川下ユーザ等への情報伝達(33条)義務に関する成形品中のSVHC濃度の該非判定の単位は成形品全体とされ、SVHC濃度比率の計算では、成形品全体の重量を分母として計算することとされています。
これに対してフランスをはじめ異論を唱えている加盟国もあり、フランスは6月8日、SVHC濃度による情報伝達および届出義務の該非判断にあたって、当該成形品の構成部品単位で判断し、SVHC濃度の計算では、構成部品の重量を分母として計算する旨の官報を公示しました。
RoHS指令においては、均質材料(homogeneous material)あたりに含有される有害化学物質を規制しています。
均質材料に関しては、改正RoHS指令第3条20項において、均質材料を機械的に分離できない材料とし、例としてプラスチック、セラミックス、ガラス、金属、合金、紙、樹脂、コーティングなどが示されています。
一方、6月8日のフランスの官報の内容からは、構成部品とは単独で成形品の定義を満たすことができる成形品中の個々の部品であると解釈できます。
フランスの官報では金属のバックル付きの革ベルトの例が記載されていますが、今回は貴社が工作機械をフランスに輸出した場合の対応を例として考えてみたいと思います。ちなみに革ベルトの例の内容に関してはQ300をご参照ください。
貴社が工作機械をフランスに輸出する場合、SVHC濃度の該非判定およびRoHS指令の有害化学物質含有量算出に関しては以下のような計算を行うことになります。
このようにフランスが提案している成形品中のSVHC濃度とRoHS指令の均質材料あたりの有害化学物質濃度の算出根拠はレベルが異なっています。