EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2012年3月に発行された「物質の特定と命名に関するガイダンス」の第5章(CRITERIA FOR CHECKING IF SUBSTANCES ARE THE SAME、P42)において、化合物の水和物と無水物はCAS番号が異なっていても登録においては同一の物質とみなされるとの記載があり、以下の例が掲載されています。
例 | |||
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名称および分子式 | CAS number | EC number | Rule |
硫酸銅(CuSO4) | 7758-98-7 | 231-847-6 | |
硫酸銅・水和物 (Cu.SO4.5H2O) |
7758-99-8 | 本物質は、無水物の形状 (EC number:231-846-6) の登録によりカバーされる |
ご質問の塩化コバルト(EC No.231-589-4,CAS No.7646-79-9)と塩化コバルト水和物(CAS No.7791-13-1)は、上記の「物質の特定と命名に関するガイダンス」の例を参考にしますと、登録において同一物質として扱うこととなります。すなわち、Candidate Listsに収載されていない塩化コバルト水和物(CAS No 7791-13-1)もCandidate Listsに収載されている塩化コバルト(CAS No 7646-7-9)と同様に、EC No.231-589-4で登録されることになります。これを敷衍すれば、塩化コバルト水和物にもREACH規則第33条の情報伝達の義務が必要になると考えるのが妥当であると判断いたします。
また、ESISには塩化コバルト水和物は記載されていません。
情報伝達の場合とは別に、成形品中にSVHC(認可候補物質)が含まれている場合の当該SVHCのECHAへの届出義務が、REACH規則第7条(2)で次のとおり規定されています。
成形品の生産者又は輸入者はいずれも、以下の2つの条件が満たされる場合であって、物質が第57条の基準を満たし、かつ第59条(1)に従って特定される時は、本条の第4項に従って化学物質庁に届け出なければならない。
(a)物質が成形品の中に生産者又は輸入者当たりで合計して年間1tを超える量であること
(b)物質が成形品の中に重量比(w/w)0.1%を超える濃度で存在すること
上記の届出の場合も水和物の扱いは登録、情報伝達と同様であると判断されます。Q&A247もご参照ください。