EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則はEU加盟国に一律に適用されます。ハンガリーはEU加盟国ですので、ハンガリーに輸出している場合、登録に関しましてはREACH規則を順守する必要があります。
EUでは、2008年6月1日以降、製造・輸入量が年間1t以上の化学物質は登録する義務があります。ただし、既存化学物質につきましては2008年6月1日-11月30日までに予備登録することにより、以下のスケジュールの登録期限まで物質の登録が猶予されています(予備登録した既存物質は段階的導入物質と呼ばれます)。
ご質問の内容から貴社は輸出されている化学物質は予備登録されていますが、まだ登録されていないと想定されます。現在の輸出量が年間1t以上100t未満と考えられますので、上述のスケジュールから2018年5月31日までに登録する必要があるということになります1)。
また、同じ物質について複数の登録者がいる場合は、SIEFに参加してデータを共同提出することが求められます。その際、複数の登録者の物質が本当に同じであるかを確認するために、登録する物質を明確に特定する必要があります。物質の特定に当たっては、REACH ガイダンス「REACHとCLPにおける物質の同定と命名の関する手引き」に詳細な説明がありますのでご参照ください。
登録するために必要な情報は、REACH規則第10条に規定されている以下の技術一式文書です。
SIEFでデータを共同提出することが求められているのは、(4)、(6)、(7)、(8)および(9)です。これらのデータを共同提出する場合、それらのデータを他の登録者から提供される場合は、試験費用の分担を要求されます。これらの費用が高額になり、自ら試験を行うことを選択して登録することはできます。
同じ物質が予備登録、または登録されていない場合は、貴社で上述の試験を行う必要があります。
また、年間10t以上製造・輸入する場合は、第14条に規定される化学物質安全性報告書の提出も必要となります。化学物質安全報告書では、以下の項目で物質の危険有害性の評価を行います。
これらの有害性情報に基づき、登録するすべての「特定された用途」に対して「ばく露シナリオ」を作成する必要があります。「ばく露シナリオ」では、「特定された用途」における「ばく露評価」と「リスクの特定」を行い、その使用においてリスクを防止する措置を明確にします。
なお、REACHガイダンス「情報要件と化学物質安全性評価(CSA)に関する手引 パートD:ばく露シナリオの構築」では、ばく露シナリオの標準フォーマットとして、ばく露シナリオの略称、ばく露シナリオで包含されるプロセス及び活動、「特定された用途」での取扱期間や取扱頻度などの作業条件が示されています。
以上から、貴社の輸出量に応じて対応方法が変わってきますので、貴社のハンガリーへの輸出量を考慮して登録手続きをする必要があります。
なお、基本的にREACH規則に則って手続きを行うことが必要ですが、REACH規則以外のハンガリー独自の規制があるかどうかについては念のため輸出先に問い合わせ、ご確認下さい。