EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則はこれまでも段階的に適用範囲の拡大や対象物質の見直しなどが行われてきており、最新情報を常に確認することが必要です。最新条文を確認するには、当局や官報の情報をとして、欧州委員会環境総局のWebサイトやEU法データベース(EUR-Lex)が確実です。
特にEUR-LexではREACH規則の当初法(1907/2006)、各改正へのリンク、およびこれまでの改正内容を反映した「統合版」が確認できます。なお、現状の最新版は2015年9月25日版(All consolidated version 25/09/2015)となっています。
REACH規則は2015年12月までに31回改正されていますが、統合版を見れば、その統合版の日付以前のすべての改正内容が盛り込まれており、どの個所がどの改正で追加・修正されているかがわかるようになっています。また、31回行われた改正の原文には、その改正が行われた背景や理由などが前文として記載されています。
なお、31回の改正ではありますが、同時に複数個所の改正が行われるケースがあるため、改正された個所別に見ると累計で127件となります。 127件の内容を見てみると、REACH規則本文の改正が50件であり、残りの77件が附属書の改正でした、中でも制限対象物質やその制限条件を定めた附属書XVIIの改正が26件と最も多く、次いで、化学物質安全性評価報告書(CSR)の要件を定めた附属書I、認可対象物質を定めた附属書XIVの改正が多くなっています。
また、REACH規則の改正の中でも附属書XIVや同XVIIなど、認可や制限の対象物質の追加に関しては、官報で正式に公布される前に、当局での規制化の要否検討から規制の提案、意見募集、意見募集結果を踏まえた最終提案など、1年以上前からその動向をREACH規則の担当省庁である欧州化学物質庁(ECHA)のWebサイトで確認することが可能です。
ECHAのWebサイトは、REACH条文の解釈に関するガイダンス、規制対象物質の検討状況など多くの情報があり、全てを常に確認することは困難ですが、e-Newsの購読登録をすることにより毎週関連する最新の情報を入手することができます。
このようにREACH規則だけをとっても、多くの改正が行われおり、今後も新たな物質の追加等、多くの改正が行われることが予想されます。 このような改正情報を把握することも必要ですが、改正に応じた都度対応では企業にとって負担が大きく、今後も改正情報を常に追いかけ、その情報に一喜一憂することになってしまいます。
そのため、自社製品中の含有化学物質の情報や自社製品の用途等をもとに、自らリスクを評価し、規制を先取りまたは変化に柔軟に対応できる仕組みが必要であると考えます。