EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2007.03.09
EUでは昨年12月に従来の40あまりの化学物質関連の法規制を統合した新たな化学物質規制法である「REACH REGULATION (REACH規制)」 が発効し、2007年6月1日から施行されます。
REACH規制が制定された目的は大きく以下の2つです。
化学物質の取扱事業者は取扱量には関係なく、SDS (安全データシート) を川下ユーザーに対して提供しなければなりません。
REACH規制の施行に伴い、既存化学物資、新規化学物質を問わずEU内で年間1t以上の製造事業者または輸入業者は当該化学物質の登録義務を負います。
さらに、年間製造量または輸入量が10t以上の場合にはSDSの提供に加え、新たに、当該化学物質の用途ごとに人の健康と環境に対するリスク評価、リスク管理に関する「化学物質安全報告書 (CSR)」を提出することが義務づけられました。
ここで、問題となるのは、化学物質の分類や表示の統一です。国や地域によって化学物質の分類や表示が統一されていない場合、有害性の定義、表示や安全データシート (MSDS)に記載する情報が違っていることに起因し、人の健康や環境保護に重大な影響を及ぼすことが懸念されます。
この点に着目して、2003年7月に国際連合からGHS (Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)という化学品の分類および表示に関する世界調和システムが勧告されました。
その背景となっているのは、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット」で採択された「Agenda21 第19章 27項」です。ここでは、目標として、「全世界的に調和された有害性の分類およびラベリングシステムは、化学物質安全データシートおよび容易に理解され得る記号を含めて可能であれば西暦2000年までに開発されるべきである。」と宣言されています。このことが、GHSの作業を完成させるための推進力となっていることがあげられます。
GHSで分類・表示される危険有害性としては、爆発性、引火性、急性毒性、発がん性、水生環境有害性などがあります。
GHSは今後、各国で導入されていく予定であり、国際的には、1992年に開催された地球サミットの活動、運用状況フォローのために10年後に開催された2002年のヨハネスブルグサミットにおいて2008年までの実施が目標とされています。
わが国ではGHS関係省庁連絡会議(注1)において、GHS分類を行う時のデータリソースなどを記した「GHS分類マニュアル」を作成しています。また、労働安全法、PRTR法、毒物及び劇物取締法等の関連法令でMSDS交付対象となっている約1,500物質について、このGHS分類マニュアルに従った分類結果を独立行政法人製品技術基盤機構のホームページ(http://www.safe.nite.go.jp/ghs/index.html)に本年2月末まで13回にわたり、毎月1回のタイミングで更新、掲載してきました。
本公表ではGHSに基づくMSDS や表示(ラベル)の作成の際の参考になるよう、厚生労働省(医薬食品局、労働基準局)、経済産業省(製造産業局)、環境省(環境保健部)等の関係機関などを中心に、関係法令におけるMSDS交付対象物質などの危険有害性を分類し、公表を行っていく事業で、予定している約1,500物質の分類のうち、毒物及び劇物取締法に関係する物質を中心に29物質についての結果を公表しています。
なお、GHSは日本語の仮訳が以下のホームページに公表されています。
http://www.env.go.jp/chemi/ghs/kariyaku.html
(注1) GHS関係省庁連絡会議メンバーは以下のとおりです。
(担当:瀧山 森雄)