EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2007.04.13
REACH規則には、第4条の「第三者の代理人(a third party representative)と第8条の「域外製造業者の唯一の代理人(only representative)の2つの代理人制度があります。
物質、調剤中の物質またはアーティクルの製造業者、輸入業者または該当する川下ユーザーは、「第三者の代理人」を任命できます。「第三者の代理人」は、複数の登録者によるデータの共同提出(第11条)、複数の登録者による単離中間体に関するデータの共同提出(第19条)、データ共有および不必要な試験回避 (タイトル?)、登録者および/または川下ユーザー間の合意のない試験費用分担(第53条)の手続を代理します。「第三者の代理人」を任命しても、製造業者、輸入業者はREACH規則の義務を免除されることはありません。
しかし、「第三者の代理人」を任命することにより、通常は任命した製造業者等のアイディティティは化学品庁により他の製造業者などに対しては開示しません。
EU域内に物質、調剤中の物質またはアーティクルを輸出するEU域外の企業(法人および自然人)は、EU域内の法人または自然人を契約により「唯一の代理人」に指名できます。REACH規則による登録は、EU域外の企業はできませんので、輸入者がその義務を負うことになっています。しかし一般的に、輸入者はR EACH規則が要求する登録時の情報や評価時へのレスポンスをする技術的知識が少ないと思われます。このため、EU 域外の製造業者は、「唯一の代理人」と契約し、登録に限らずREACH規則の義務などを順守の代理をさせます。(正確な「唯一の代理人」の法的な立場は、 EU域外の企業の代理人ではなく、輸入者の代理人になります。)
「唯一の代理人」は次の情報を利用可能にして、かつ最新状態に維持することが要求されています。
「唯一の代理人」には、「第三者の代理人」と違って、物質の実際の取り扱いに関する十分な背景とそれらに関する情報をもっている必要があります。
域外の製造業者は、「唯一の代理人」を選任した場合は、このサプライチェーン内の輸入者に通知します。これらにより、輸入者はREACH規則上では、川下ユーザーの扱いとなります。
輸入者でなく「唯一の代理人」を選ぶことは、域外の製造業者が直接登録手続き全体を管理することができ、輸入者にノウハウなどの情報開示をしなくてよいという利点があります。逆に、輸入者が域外の製造業者の同一物質を扱っており登録済みの場合は、その輸入者を利用する方が簡単です。
このように、日本企業にとっては、この代理人制度を活用することも経営戦略になります。「唯一の代理人」を複数の企業が共同で設立することが動いているようです。
なお、REACHに関する情報は環境省がポータルサイトを立ち上げています。
各種資料や和訳Q&Aなどが掲載されています。
http://www.env.go.jp/chemi/reach/reach.html
(松浦 徹也)