英国では、2007年3月13日にREACH規則施行に対する要求に関するコンサルテーションドキュメントが公表されました。以下にREACH施行を効果的に実施するため責務・義務について英国の場合を紹介します。
REACH規則の効果的施行措置
REACH規則は、2006年12月18日に欧州議会と欧州委員会において合意され、12月30日に官報(Official Journal)に掲載されました。
REACH規則は、2007年6月1日から施行されます。この規制は、EUにおける、現行のばらばらの40以上の法令を統合し、置き換えるものとして化学品の管理、統制、使用のための枠組的な法令となります。
1.REACH規則は、国内法への転換を必要とせず、直接加盟各国に適用される規則です。
しかし、加盟国は、効果的、整合的そして抑止的な法令施行の実施と罰則制度の確立を要求されています。
2.英国は、2008年12月1日までに施行と罰則制度を整備するように要求されています。
REACH規則は、単に製造業者やサプライヤーが取り扱う化学品のみでなく規則の施行が及ぶ幅広い分野のビジネスで使用される化学品にも適用されます。
3.英国のREACH施行への取組み
- 公的な施行手順により支援されるエンフォースメントアプローチは規則の目的を達成するのに効果的である。このアプローチは、ビジネスの施行コストを削減するのに有効である。このタイプの取組事例は、HSE(注1)の健康と安全法令の施行の場合に該当する。HSEは英国における工場、建設サイト、鉱山、農場、遊園地、採石場、化学工場、漁場、原子力発電所、学校、病院そのほかの作業場などをカバーするいくつかの産業セクターに健康と安全法令施行を取り締まっている。HSEの検査官は法令順守の方法を助言することにより健康と安全の標準を守らせている。
- HSEとHSENI(注2)がREACHの責務に関連した情報とサプライチェーンを取り締まり、HSE、HSENI、EA(注3)、SEPA(注4)、EHSNI(注5)および地方当局がREACHの要求事項に関連する使用を取り締まる。
- 政府は健康と環境の便益を極大化し、ビジネスの負荷を極小化するようにREACHを効果的に執行させるために現存組織を最善に活用し、改善することに意欲的である。
4.REACH規則への不順守の場合の罰則
- REACH規則第126条は加盟国に規定違反に適用可能な罰則を定めるよう要求している。
- 政府は、REACH規則義務違反に対して、2レベルの罰則制度を考慮している。
- 違反が健康と環境に重大な影響を及ぼす可能性がある場合の高度な罰則
- 上記以外のEU化学品庁への報告やサプライチェーン間での情報伝達等義務違反に適用する低レベルの罰則
- サプライチェーンの上下コミュニケーションは、REACH規則の成功要因であり、情報要求に従わない場合は、結局、健康と環境に重大な結果を引き起こすことになる。
- 最近の類似犯罪に照らして、下級裁判所に告訴された場合は、最高5,000ポンドの罰金と3カ月の禁固、刑事法院(Crown Court)に告訴された場合は、最高2年の禁固と上限なしの罰金となっている。
- 注1:Health and Safety Executive
- 注2:Health and Safety Executive Northern Ireland
- 注3:Environment Agency
- 注4:Scottish Environment Protection Agency
- 注5:Northern Ireland Environment and Heritage Service
(瀧山 森雄)