EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2008.12.05
REACHの予備登録が終わりました。予備登録の終了近くになって、ECHAからは予備登録に関する質問に対する回答や注意事項がいくつか発表されていました。この時期になって、このように記事が数多く出たことに少しびっくりさせられます。そのいくつかを紹介します。
その1
例えば、段階的導入物質となるノーロンガーポリマー(NLP )に関しては、当初公布された規則の修正がなされましたが、この第1回目の修正が段階的導入物質の定義の範囲を故意ではなく変えてしまっていたとして、第2回目の修正がされると発表されています。
第1回目の修正で、「REACH規則発効(2007月6月1日)以前に(before the entry into force of REACH Regulation,i.e. before 1 June 2007)」の文言が抜けていたものを、第2回目で修正することです1)。ただ、詳細に見てみると、段階的導入物質の定義の第3条20(b)のNLPでない通常の物質は、「製造された」ことになっているに対して、NLPでない第3条20(c)では、「上市された」ことになっています。この言葉の違いの意味するところの正確な意味は分かりませんが、NLPに対しては、EU域内外の製造者に対する差別はありませんが、NLPでない物質については、EU域外の製造者にはこの要件が適用されないとも解釈でき、差別がなかったかと気になります。
その2
11月30日までの予備登録数が220万を超えていました。11月1日までに予備登録された物質数は5万を超えていましたので、1つのSIEFのメンバー数は単純平均して、40社を超えることになります。
実際には、数社しか予備登録しない物質があるでしょうから、一方では40社をはるかに超えるメンバーのSIEFができることになります。事実、物質によっては数百社が参加するSIEFがあると聞きます。このようなSIEFの運営がスムースに行えるのか心配になります。
一方、単一物質であっても、例えば不純物含有率が異なるとかで、同じEINECS番号の物質でも、異なる物質として別々のSIEFになります。このようなことが起こると、 REACH規則が目的とする分類と表示が、同じ物質名で登録されても、異なる場合がある可能性が起こるかもしれません。REACH規則が完全に運用された時に混乱が起こらないことを望みたいものです。
また、予備登録に関して、追加のFAQの発表もありました2)。締め切り間際での情報提供が必要であったことを考えますと、REACHの施行に当たっては、これからも追加の情報が提供されることも予想されます。今後もECHAの発表についてはできる限り紹介したいと思いっています。
参考情報;
1)http://ec.europa.eu/enterprise/reach/docs/reach/corrigendum_no_longer_polymers.pdf
2)http://echa.europa.eu/doc/press/pr_08_49_reach_rrs_20081124.pdf
(林 譲)