EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2011.05.20
2011年5月11日に、ECHAは登録情報の中からSDS記載されている登録者名等の情報を、近々公開すると発表しました1)。
すでに登録されている既存化学物質のうち、5月6日現在で4071物質の情報が公開されています2)。
基本的には、REACH規則第119条で規定されている以下の情報が公開されています。
なお、第118条(2)では、企業の以下の情報は、商業上の利益保護を損ねるものと見なされています。
第118条(2)の非公開とする情報には、今回公開が決定された登録者名等は含まれていません。登録者名に加えて、登録番号や登録物質がPBTあるいはvPvBの基準に合致するかどうかについても公開することが検討されています。
ただし、有害性物質の登録者は、商業上の利益を守るために、有効な正当性を提供し、必要な手数料を納入し、ECHAが承認すれば、その情報を機密にすることができます。
今回、公開する情報を拡大することになりましたのは、European Commission Services(欧州委員会サービス)の法解釈とその管理委員会のアドバイスに従うものであるとしています。
ただ、公開にあったては、IUCLIDとREACH-ITの修正が必要であり、直ちに公開はされません。また、登録者には、登録文書に秘密保持の要求を追加するために十分な時間は与えられることになっています。
ECHAが登録者名等の情報公開することになりましたのは、欧州の環境保護団体(ChemSecおよびClientEarth)が、ECHAは有害物質の製造者名の公開を拒否しているのは、REACH規則の目的の1つである化学物質の安全でない使用を禁止することによる一般市民の健康の保護の防止、および環境情報の公開に関するEUの透明性のある法律に違反しているとして、情報公開を求める訴えを起こしたことへの対応と考えらえます3、4)。
なお、ChemSecは、REACH規則に従って直ちに代替すべき物質リスト“SIN(Substitute it Now!) List”として、“the SIN List 2.0”で378種類の物質を公表しています。これらの物質は、将来、SVHCとしてさらには附属書XIV収載の認可対象物質とされる可能性があり、使用に当たっては代替も含めて注意して置かなければならないと考えています5)。
1)http://echa.europa.eu/news/pr/201105/
pr_11_09_ECHA_to_publish_more_info_on_chemicals_en.asp
2)http://apps.echa.europa.eu/registered/registered-sub.aspx
3)http://www.chemsec.org/news/news-2011/
742-eu-court-case-chemsec-and-clientearth-fights-for-names-of-toxics-producers-to-be-made-public
4)http://www.chemsec.org/news/news-2011/
743-echa-takes-first-step-towards-disclosing-information-on-producers-of-hazardous-chemicals
5)http://www.chemsec.org/list/about-sin
http://www.chemsec.org/images/stories/2011/chemsec/SIN_List_2.0_all_378.pdf
(林 譲)