EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2011.05.27
2001年5月に採択、2004年5月に発効したPOPs条約(正式には「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」)は、農薬、産業用化学物質および非意図的残留性有機汚染物質からヒト健康と環境を保護するための世界の法的拘束力のある条約です(日本では2002年8月に条約を締結しています)。
2011年4月25日~4月29日まで、スイスのジュネーブで開催されました第5回締約国会議(以下COP5)において新たにエンドスルファンが同条約の附属書A(廃絶)に追加されたことやその他の主要な決定について概要を紹介いたします1)。
CPO5開催に先立ち、2010年10月11日~同年10月15日にジュネーブ(スイス)で開催された第6回残留性有機汚染物質検討委員会(以下POPRC6注))において以下が決定されていました。
注)POPRC:Persistent Organic Pollutants Review Committee)は、ストックホルム条約第8条に基づき、条約物質への追加について検討するために設置された委員会で、新たに提案された物質について(1)スクリーニング、(2)危険性の概要(リスクプロファイル)、(3)危険に関する評価の手順を経て締約国会議(COP:Conference of Parties)に勧告を行い、その勧告に基づいてCOPで廃絶・制限の対象にするかどうかを最終的に決定することになっています。
POPRC6における決定内容は以下です。
〇リスクプロファイル評価案の検討(短鎖系塩素化パラフィン・ヘキサブロモシクロドデカン)の検討結果。
ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)
リスクプロファイル案を審議、「長距離移動の結果重大な悪影響をもたらすおそれがある」との結論に達し、リスクの管理に関する評価案を作成する段階に進めることを決定。
短鎖塩素化パラフィン(SCCP)
リスクプロファイル案を審議、議論が収束せず今後、毒性学的相互作用の評価情報を収集し、POPRC7に報告し、POPRS8で改めてリスクプロファイル案を議論することを決定。
〇リスク管理に関する評価案の検討結果
エンドスルファン
リスク管理に関する評価案を審議、同評価案を採択、附属書A(廃絶、個別の適用除外を含む)への追加をCOP5に勧告することを決定。
以上の勧告を踏まえて開催されたCOP5の結果
なお、エンドスルファンについては、2007年11月19日~11月23日に開催されたPOPRC3 において、新たに提案されていましたが、その会合において議論は持ち越しとなっていました。その後、POPRC6における検討結果を踏まえ、今回のCOP5において、附属書A(廃絶)への追加が行われたものです。
エンドスルファンは主に農薬に使用されており、インドが最大の輸出国となっています。
日本においては、エンドスルファンを有効成分とする農薬については農薬取締法における登録がすでに2010年9月29日に失効しています。
登録・失効農薬の情報は(独)農林水産消費安全技術センターのホームページに掲載されています。
(瀧山 森雄)