EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2011.06.10
REACHの最初の登録、分類の届出期限が過ぎた、2010年12月1日以降も、ECHAからは色々な情報が提供されています。大変複雑なREACHの実施にあたっては、施行前にすべての施行細目が明確でなかったことは致し方ないことだと思います。あるべき姿に向いながらも、よりよい実施方法を探っています。
今後、明確化されることが、企業の方にとってはハードルが緩和されるようになることを期待したいものです。以下では筆者がいま気になっている事柄を紹介します。
SDS記載の要求事項について、REACH規則附属書IIが2010年5月31日公布の委員会規則(EU)No.453/2010で修正されています。修正の概要には、ドラフト段階の内容で2010年2月12日付コラムで紹介していました。そこでは詳細に記していませんでしたが、修正内容で特に気になるのがSDSの発行者です。
修正前の附属書では以下のようになっていました。
●修正前のSDSの提供者(環境省仮訳より引用)
この規定が、修正規則では以下のように修正されています。
●修正後のSDSの提供者(筆者意訳)
修正前は、SDSの提供者(発行者)は、製造者、輸入者であることになります。EU域外の製造者・輸出者の記載については、特に規定がなかったと解釈できます。修正後に、EU域外の製造者についての記載条件を明確にしたと考えられます。
日本の企業の方が製造者と記載できるのは、唯一の代理人を任命している(1t以上で登録、または予備登録している)場合だけで、1t以下で輸出している場合は、輸出先がSDSの発行者になると考えられます。この点については、注意が必要ではないかと思います。
このように書きましたが、SDSを輸出先に提供しなければならないことは当然です。なお、「SDS編集のガイダンス」の草案第3版が2011年5月11日付けで公表されています。
附属書XIV収載の最初の認可対象の7物質が、2011年2月11日に公示されました(詳細は2011年3月4日付けコラムを参照ください)。
認可は、EU域内の製造者、輸入者、川下ユーザーだけが申請できますが、EU域外の企業はできませんし、唯一の代理人も認可申請できません。EU域外の企業も、認可申請できるようにロビー活動が行われていると聞きますが、まだ、決まっていないようです。
この状態が変わらない場合、輸出先が認可を取得して、日没日以降に認可対象物質、例えばフタル酸2-エチルへキシル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジブチル等そのものやこれらを含有する混合物を輸出する場合、SDSには認可番号を2項に記載する必要があります。その物質が(予備)登録されている場合は、輸出先から認可番号の提供してもらうことが必要になります。
2011年2月21日からインターネットコンサルテーションが行われていました7物質が(2011年3月4日付けコラム)、2011年5月31日に加盟国委員会でSVHCに追加することが決定されました。the Candidate Listへの正式な追加はこれからですが、追加されますと、0.1%以上含有する成形品の情報提供義務は直ちに、1t以上の場合のECHAへは6カ月以内の届け出が必要となります。
(林 譲)