EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2013.12.27
2013年12月16日に、ECHAから表1の7物質がcandidate listに追加収載することが公表されました1)。今回の収載案については、2013年9月2日から10月17日まで意見募集が行われていましたが、ECHAには何の意見も寄せられず、加盟国委員会(MSC)の全員一致で収載されました。この結果、candidate listに収載された物質は合計151物質になります。収載された理由とする有害性はすべてCMRですが、#4の硫化カドミウムについては発がん性の他に腎臓と骨へ影響があることが付け加えられています。
2013年11月28日に更新された登録物質リストには、#1のりん酸トリス(ジメチルフェニル)、#4の硫化カドミウム、#6の酢酸鉛(II)、および#7のエチレンチオ尿素では登録情報が公開されていますが、その他の3物質についてはまだ登録情報は公開されていません。
従い、登録情報が公開されている4物質については、成形品にこれらの物質を0.1%以上含有し、その総量が1t以上である場合の要求される届出は、登録情報に少なくとも同じ用途が記載されていれば免除される可能性はあります。
しかし、登録情報が公開されていない物質については、2013年12月16日から6カ月以内に届出が必要になる可能性があります。なお、これらの物質を0.1%以上含有する成形品の情報提供は、2013年12月16日からすでに必要となっています。
# | 物質名 | EC 番号 | CAS 番号 | 提案国 | 有害性 | 主な用途例 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | りん酸トリス(ジメチルフェニル) (別名:リン酸トリキシリル) |
26-677-8 | 25155-23-1 | オーストリア | 生殖毒性1B | 耐火流体、油圧用流体 |
2 | 4‐アミノ‐3‐[[4'‐[(2,4‐ジアミノフェニル)アゾ]‐1,1'‐ビフェニル‐4‐イル]アゾ]‐5‐ヒドロキシ‐6‐(フェニルアゾ)‐2,7‐ナフタレンジスルホン酸二ナトリウム (別名 :C.I ダイレクトブラック38) |
217-710-3 | 1937-37-7 | オランダ | 発がん性1B | 染料 |
3 | フタル酸ジへキシル | 201-559-5 | 84-75-3 | ドイツ | 生殖毒性1B | 可塑剤 |
4 | 硫化カドミウム | 215-147-8 | 1306-23-6 | スウェーデン | 発がん性1B その他 |
黄色顔料 |
5 | 3,3'‐[(1,1'-ビフェニル‐4,4'‐ジイル)ビスアゾ]ビス(4‐アミノ‐1‐ナフタレンスルホン酸ナトリウム)(別名:C.I. ダイレクトレッド28) | 209-358-4 | 573-58-0 | オランダ | 発がん性1B | 染料 |
6 | 酢酸鉛(II) | 206-104-4 | 301-04-2 | オランダ | 生殖毒性1A | 顔料、充填剤 |
7 | エチレンチオ尿素 別名:2-イミダゾリジンチオン、イミダゾリン‐2‐チオール |
202-506-9 | 96-45-7 | スウェーデン | 生殖毒性1B | 加硫剤 |
加盟国や欧州修委員会がCandidate Listに収載しようとする場合は、ECHAのウエブサイトのRegistry Intentionにまずその予定があること、および附属書XVの提出予定日が公表されます。一般の関係者はこのRegistry Intentionを見て、今後どのような物質がCandidate Listに収載されるかを知ることになります。
しかし、この方法では提案をどの物質を提案されるかはRegistry Intentionに公表されてからでないとわかりません。
2013年2月6日付けで欧州委員会から理事会に「Roadmap on Substances of Very High Concern」と題する報告書が提出されていました(2013年3月1日付けコラム参照)。この報告に沿って、ECHAのウエブサイトにSVHC Roadmap sectionが2013年12月9日に開設されました2)、3)。今後はこのサイトでSVHCとする物質のスクリーニング過程からRegistry Intentionまでの情報が提供されることになります。すなわち、評価対象とする物質のスクリーン過程からCandidate Listへ収載する提案書の内容までの情報が公開されることになります。
3)
http://echa.europa.eu/addressing-chemicals-of-concern/substances-of-potential-concern
(林 譲)