EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2014.12.05
台湾の化学物質の登録制度が、毒性化学物質管理法と職業安全衛生法で施行されます。毒性化学物質管理法では新規化学物質と既存化学物質について、職業安全衛生法では新規化学物質について登録することが義務付けられます。
既存化学物質については、2011年12月31日までに台湾で製造・輸入された物質の届出により、既存化学物質インベントリー(以下、インベントリー)の整備が行われていましが、2014年11月25日に最終版が公表されました1)。他の国の制度と同じく、このインベントリーに収載されていない物質が新規化学物質です。
化学物質の登録を規定する施行規則については下記の草案が公表されています。
両案には一致していない点があり、これから草案は修正される可能性はありますが、施行日が迫っていますので本稿執筆時点で把握しているこれらの内容を2回に分けて紹介します。
1.施行日について
毒性化学物質法の施行日は、2014年12月11日、職業安全衛生法での施行日は2015年1月となっており、施行日が相違していることに注意が必要です。
2.既存化学物質の登録
毒性化学物質管理法では、インベントリーに収載されている既存化学物質を年間100kg以上製造・輸入していた場合は、第1段階の登録を求めています。年間数量の算出法はREACH規則と同じく登録申請前3年間の平均値です。
過去3年間連続していない場合は、その中の最大量となります。登録申請の届け出は、2015年9月1日から2016年3月31日までに行う必要があります。また、2016年3月31日以降に製造・輸入する場合は、当局が定める期限内に第1段階登録をする必要があります。
登録申請で提出が必要な情報は下記の項目です。
第1段階の登録物質の情報に基づいて、当局は標準登録をすべき既存化学物質のリストを、数量範囲および登録期限を定めて段階的に公告します。その詳細は、次回のコラムでご紹介しますが、提出が求められています情報はREACH規則で要求されている情報項目とほぼ同じで、要求される試験データは、トン数帯が増えるにしたがって増えます。
3.インベントリーに収載されていない施行日前に製造・輸入された物質の登録
インベントリーに収載されていない物質は新規化学物質です。施行日までに輸出実績がある化学物質ついては、優遇の経過措置が設けられています。ただし、製造・輸入されていたことを証明する資料を添えて、当局の承認を得る必要があります。
(1)毒性化学物質管理法(「新化學物質及既有化學物質資料登法」草案)
2014年12月10日迄に製造・輸入された物質は、既存化学物質の登録と同じ届出をすることが規定されています。すなわち、先ずは、上記(1)記載の情報を提出する必要があります。草案では、期限の規定の条項はありませんが、次項(2)の職業安全衛生法との整合されるようです。
(2)職業安全衛生法(「新化學物質登記管理法」草案)
2014年12月31日迄に製造・輸入された物質については、2015年1月1日から3月31日迄に、下記情報を提出して登録することが必要です。この登録の有効期限は、1年間で延長は認められません。
「新化學物質及既有化學物質資料登法」草案、「新化學物質登記管理
法」草案のいずれの草案においても、その後の手続きの規定の条項は設けられていません。「新化學物質及既有化學物質資料登
法」草案では、既存化学物質として登録の手続きの規定の条項があることを考えると、インベントリーに収載されることが考えられます。
4.施行日以降に製造・輸入される物質の優遇経過措置
施行日以降から2015年12月31日迄に、製造・輸入される物質については、量に関係なく、新規化学物質の少量登録を行い、トン数帯によりきめられる標準登録をするまでの時間に猶予が与えられます。この登録の有効期間は、それぞれ下記のようになっています。
少量登録で提出が必要な情報内容は、両法で同じ下記の項目です。
次回は新規化学物質の標準登録の概要について紹介する予定です。
1)http://csnn.osha.gov.tw/content/news-in.aspx?id=81
http://csnn.osha.gov.tw/content/Substance_home.aspx
http://csnn.osha.gov.tw/content/Substance_Query_Q.aspx
(林 譲)