EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2017.03.31
前回の2017年3月3日のコラムでは、REACH規則での登録の情報提出から登録情報の公開まで下記の5段階のステップのうち、2番目の技術的完全性のチェックについてご紹介しました。
今回は、5番目の登録情報の公開についてご紹介します。
ECHAのウエブページには、登録物質の情報が定期的に更新され、公開されています。3月27日時点で、58,817件の登録文書から15,468登録物質の情報が公開されています。これらの登録物質の情報公開については、REACH規則の第119条で下記のように規定されています。第1項では必ず公開される情報、第2項では申請が認められれば企業秘密として開示されない情報が規定されています。
1.第119条第1項;必ず公開される情報
2.第119条第2項;申請が認められれば公開されない情報
どの様な場合に企業秘密の申請が認められるか、あるいは、認められないかについては、2016年4月に公表されています「Dissemination and Confidentiality under REACH Regulation」に分かりやすく説明されています1)。
2項の(a)や(b)については、物質の製造法等の企業秘密を守るために申請が出来ます。(c)については試験研究費の分担や知的財産権を保護するために申請が出来ます。(d)については下記に記載します第118条で企業秘密として保護がされるべきものと規定されている事項にも関連します。(f)や(g)は新規物質の名称の開示に係ることです。EINECS収載の物質(段階的導入物質)等については、登録に際してはその名称を使用することになりますが、新規物質についてはEC名称がなく、IUPAC名で登録することになります。しかし、有機物の場合、IUPAC名からはその構造が分かります。物質の詳細な構造を非開示にするためには出来る限り総称名で登録する必要があります。上記の説明書には、IUPAC名から総称名にする方法が記載されています。
企業秘密の申請は評価されます。現在公開されている登録物質の情報は企業秘密の申請が評価され、認められた企業秘密は非開示になっています。
公開情報の登録物質の名称を調べてみますと、その中には、Alkylated Naphthaleneや[No public or meaningful name is available]等、物質を特定できない登録物質があります。
なお、REACH規則第118条では、企業秘密として保護されるものとして、下記の項目が挙げられています。すなわち、これらの情報は企業秘密を守ることができます。
ただし、非常事態のような、人の健康、安全又は環境を保護するため、緊急な行動が不可欠な場合には、ECHAからこれらの情報は開示されることになります。
(林 譲)