EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
2019.03.01
改正K-REACHの施行令、施行規則および関連告示類の立法予告案をもとに、その概要を紹介しましたが、その後に成立・公布された内容は、立法予告案から、一部修正されています。そこで、今回のコラムでは、最終的に公布された内容をもとに、改正K-REACHの内容を再度整理したいと思います。
改正K-REACH(以下、改正法)は2018年3月20日に公布され1)、2019年1月1日に施行されました。この改正に伴い施行令(大統領令)(以下、改正施行令)は2018年12月24日2)、また施行規則(環境部令)(以下、改正施行規則)は2018年12月28日3)に、それぞれ公布されました。さらに、実施に必要な下位の告示も複数公表されています。
登録に関する条項は、改正法で最も大きく変更されています。
a)既存化学物質
改正法では、登録対象既存化学物質の指定は撤廃され、年間1t以上の既存化学物質について登録の義務が課せられます。ただ、EU REACHの予備登録制度と同じく、事前申告を行うことで、化学物質の有害性とトン数帯に応じて、次の登録猶予期限が設けられています。
改正法における既存化学物質として、44,478物質が2019年1月28日(環境部告示第2019-32号)に告示されました4)。
また、2021年12月31日までに登録が義務付けられるCMR物質については、行政予告案では544の候補物質が公表されていましたが、2018年12月28日(環境部告示第2018-232号)に364物質が告示されました5)。
上記の登録期限の猶予を享受するための事前申告の期限は下記のようになっています。
事前申告にあたって提出しなければならない情報は次の通りです。
なお、改正前のK-REACH(以下、旧法)ですでに登録対象既存化学物質として指定されていた510物質の登録期限は2018年6月30日でした。したがって、これらの物質を登録していない場合は、今後年間1t以上になる前に登録する必要があります。
b)新規化学物質
上記の既存化学物質に関する告示に収載されていない物質が新規化学物質となります。なお、重量比2%以下の単量体を除いた単量体で構成された高分子化合物が既存化学物質に該当する場合、その高分子化合物は既存化学物質とみなします。
旧法では年間1t未満では、提出資料の一部が省略できる「少量登録」がありましたが、改正法では年間100㎏以上に「登録」が求められ、年間100㎏未満は「申告」が求められることになりました。改正により基準となるトン数が年間1tから100㎏に引き下げられましたが、2019年末までは、経過措置として、旧法どおり100㎏以上1t未満については提出資料の一部を省略できることになっています。
また、旧有害化学物質管理法で有害性審査免除を受けた下記の新規化学物質は、2020年12月31日までに申告が必要です。
なお、2019年1月1日以前に、旧法で100㎏未満の登録をしている場合は、改正法では申告したものとみなされます。
登録・申告等が免除される化学物質については下記のように修正されています。 改正法第11条(化学物質の登録など免除)
第2号の「危害性が非常に低い化学物質」については、2018年10月12日に行政予告案が公表されていましたが、2018年12月28日(環境部告示第2018-234号)が告示され、次の別表が示されました7)。これらの物質は、REACH規則附属書IV、Vとほぼ類似しています。
第3号の「国外に全量輸出するために製造または輸入する化学物質など、大統領令で定める化学物質」については、施行令第11条で下記の通り規定されています。
改正施行令 第11条(化学物質の登録等の免除)
第1項(大統領令で定める化学物質)
第2項(第1項第5号にもかかわらず、登録または届出の免除確認対象に含まれない化学物質)次のいずれかに該当する高分子化合物
本条は削除され、年間報告の規定は廃止されました。
「重点管理物質」は、改正法の第2条(定義)10項の2で新たに規定され、下記の有害性があると懸念される化学物質の中から環境部長官が指定する物質です。2018年12月28日(環境省告示第2018-233号)に、合計672物質が告示されました8)。内訳としては、別表1に204物質(施行日;2019年7月1日)、別表2に468物質(施行日;2021年7月1日)が指定されています。
なお、重点管理物質の指定に関する行政予告案では合計1,195物質、別表1の施行日が4月1日、別表2の施行日は別表1の2年後となっていましたが、公布された告示では、対象物質が絞り込まれ、施行日も3ヵ月遅くなりました。
重点管理物質を含有する製品については、EU REACHのCL物質を含有する成形品の義務と類似する義務が設けられますが、K-REACHにおいては混合物に対してもこの規定が適用されることになっていますので、注意が必要です。
「製品」については、第2条15項で下記のように定義されています。
改正法 第2条 定義第15項
「製品」:「消費者基本法」第2条1項に規定による消費者が使用する物品またはその部品や付属品として消費者に化学物質のばく露を誘発する可能性がある下記のものをいう。
また、「製品に含有する重点化学物質の申告」の規定は、改正法の第32条で下記のように規定されています。
改正法 第32条 (製品に含有する重点化学物質の申告)
第1項 重点管理物質を含有する製品を製造・輸入する者は、次の各項の要件に該当する場合には、当該製品に含有する重点管理物質の名称、含有量と有害性情報、ばく露情報、製品に含有する重点管理物質の用途を、製造・輸入前に、環境部長官に届け出なければならない。
ただし、第2項では次のような免除規定があります。
第2項 次の各号のいずれかに該当する場合には、第1項の規定による届出をせず、重点管理物質を含有する製品を製造・輸入することができる。
(林 譲)
参考資料
1)http://www.law.go.kr/lsInfoP.do?lsiSeq=204831&efYd=20190101#0000
2)http://www.law.go.kr/lsInfoP.do?lsiSeq=206107&efYd=20190101#0000
3)http://www.law.go.kr/lsInfoP.do?lsiSeq=206276&efYd=20190101#0000
4)http://www.law.go.kr/LSW/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2100000175735
5)http://www.law.go.kr/LSW/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2100000174527
6)http://www.law.go.kr/conAdmrulByLsPop.do?&lsiSeq=204831&joNo=0010&joBrNo=00&datClsCd=010102&dguBun=DEG&lnkText=%25ED%2599%2598%25EA%25B2%25BD%25EB%25B6%2580%25EC%259E%25A5%25EA%25B4%2580%25EC%259D%25B4%2520%25EC%25A0%2595%25ED%2595%2598%25EC%2597%25AC%2520%25EA%25B3%25A0%25EC%258B%259C%25ED%2595%2598%25EB%258A%2594&admRulPttninfSeq=17415
7)http://www.law.go.kr/LSW/admRulLsInfoP.do?admRulSeq=2100000174535
8)http://www.law.go.kr/LSW/admRulSc.do?tabMenuId=tab107&p1=&subMenu=1&nwYn=1§ion=&tabNo=&query=%EC%A4%91%EC%A0%90%EA%B4%80%EB%A6%AC%EB%AC%BC%EC%A7%88%EC%9D%98%20%EC%A7%80%EC%A0%95#liBgcolor0