EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
調剤とは、化学反応なしに、2つ以上の物質が混合あるいは溶液状になっているもので、塗料、インキ、ニス、合金などが該当します。調剤そのものの登録は不要ですが、調剤に含まれる物質は登録の対象となります。
貴社のケースの場合、調剤中の物質(NiやCrといった10元素)について、原材料メーカーの登録意向を確認されており、貴社の用途を含んだ登録を実施するのであれば、貴社による登録の必要はないものと考えます。ただし、念のため、原材料メーカーの登録に際して、貴社および貴社供給先企業の用途を含んでいるかを確認しておくことをお勧めします。もし、貴社および貴社供給先企業の用途を含んでいない場合には、原材料メーカーに用途を連絡して、登録情報にその用途を追加してもらい、安全性データシート(以下、SDS)で安全に使用するための情報を確認することが必要となります。
また、貴社としては、登録以外にもサプライチェーンを通じた情報提供義務についても対応することが必要となります。REACH規則では、調剤の供給先へ量に関係なく(1t/年未満でも)次の情報提供を実施することが必要となります。
サプライチェーンにおける情報伝達のルールとして、REACHの第31条に、
は、SDSを調剤の受給者に提供しなければならないとされています。
またREACHの第32条に、リスク管理に関する入手可能で適切な情報のある物質でSDSは必要ないものについても、サプライチェーンの次の行為者に以下の情報を提示することを要求しています。
以上、物質登録に加え、サプライチェーンを通じた情報提供義務についても、原材料メーカーと密に連携しながら川下企業への対応を検討することが必要であると考えます。