ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2008年11月21日更新
Q.132 弊社は最終セットメーカで、成形品を欧州の販社を通して販売しています。REACH規則33条では、成形品にSVHCが0.1wt%を超えて含有する場合は、消費者の要求に対して、「その供給者に利用可能であり、アーティクルの安全な使用を可能にする十分な、最低限その物質名を含む情報を提供しなかればならない」とあります。弊社からの情報提供先は欧州の販社となりますが、具体的にどのような情報を提供すればよいのでしょうか?また、「供給者に利用可能」の供給者とは、販社のことでしょうか?消費者のことでしょうか?

2008年5月26日にECHAから「Guidance on requirements for substances in articles (成形品に含まれる物質に対する要求事項のガイダンス) が公表されました。
 ガイダンスの8.9には第33条に従って提供する情報 (Fowardind information according to Article 33) が記載されています。

ガイダンスの当該部分によると、

  • 「成形品の提供者は、どのように成形品が使用され、どのような暴露やリスクが発生し、特にリスク管理に関するどのような情報が、安全な取り扱いを確実にするために成形品の使用者に必要かを考慮しなければならない。」
  • 「情報提供者は、使用条件や知識のレベルを考慮しながら、情報の種類と詳細さのレベルがそれぞれの受け手に適切か考えるべきである。」

としています。

そして、消費者に提供されるべき情報として以下の例を述べています。

  • 小さな子どもが吸入した場合のヒト暴露リスク、および/または、家庭の廃棄物として排出した場合の環境暴露リスクが成形品にある場合:
    「健康およびまたは環境に(非常に)有害な物質Xを含んでいる。小さい子どもの手が届かない場所に保管すること。有害な廃棄物として、廃棄物を取扱うこと。」
  • 皮膚に接触した場合の経皮ばく露リスクが衣類にある場合:
    「健康に(非常に)有害な物質Yを含んでいる。皮膚に直接接触する着方をしてはいけない。」

情報の提供方法については、取扱い説明書や包装のような既存のドギュメントに含めることができること、ラベルはいろんなケースが使用可能であること。さらに、そのほかのテクニックが開発されるべきことが記載されています。

REACH規則は、成形品の情報提供のために様式を提供していません。情報の受領者が情報に容易に気づくように様式を選定すべきであるとしています。
 ガイダンス8.9の表には提供する情報として、含めるべき可能性のある情報項目を例示しています。

表に例示されている情報項目は以下です。

  1. 物質名
  2. CAS番号
  3. 登録番号(供給者によって提供された場合)
  4. 分類およびSVHCの特性
  5. 成形品中の濃度
  6. 適切であれば、安全な廃棄を含む安全な取り扱いに関する情報

次に、2番目のご質問(「供給者に利用可能」の供給者)ですが、該当箇所の条文の訳は「その供給者が入手でき、成形品を安全に使用できる十分な情報(少なくとも物質名を含む)を消費者に提供しなければならない」と解されますので、この場合の供給者とは欧州の販社になります。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

関連リンク