EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則における、EUの成形品製造者の義務はREACH規則第7条に規定されている条件に該当する場合の意図的放出物質の登録(第7条第1項)およびSVHCの届出(第7条第2項)と第33条に基づく、成形品中に重量比でSVHCを0.1%以上含有している場合の川下ユーザーおよび消費者への情報伝達義務があります。ご質問の場合、EUの成形品製造者は、当該成形品が第7条1項もしくは2項に該当する場合は、ECHA(化学品庁)への登録あるいは届出を行っているわけですから、それらの情報は要求すれば入手が可能と思われます。
また、第33条の情報提供義務についても認識はできていると思われます。認可対象候補物質(高懸念物質)とは、67/548/EECのCMR物質のカテゴリー1およびカテゴリー2の分類基準に該当する物質、PBT物質、vPvB物質、内部かく乱物質のような、またはPBT物質、vPvB物質のクライテリアを満たさないが、科学的根拠により人の健康や環境に対して前記の物質と同程度の深刻な影響をおそらく与えると特定される物質のことで、Candidate Listに収載されます。
SVHCはREACH規則の定義にはなく、成形品メーカー関係者はCandidate List収載物質をSVHCと呼ぶことが増えています。
現在、Candidate Listには15物質が特定されており、この物質から附属書XIVに収載される認可対象物質が認定されます。詳細は、以下のECHAのWebサイトをご覧ください。
ECHAのWebサイト:http://echa.europa.eu/home_en.asp
情報要求でEUの成形品購入先から入手が困難と考えられるのは、AISおよびJGPSSIに関連情報です。これは、法令で定められたものではなく、日本の業界 (団体)が定めている情報要求ですから、EU企業にとっては、直接の提供義務はありません。したがって、これらの情報を要求している貴社の川下取引先 (電気・電子機器メーカー)と交渉してできるだけ要求を絞り込んでもらうなどして、EU成形品製造者と取引契約の中で情報提供を依頼することになります。
また、EUへ再輸出されるとのことですから、RoHS適合に関する情報の要求を行うことも考えられます。
ご質問にあります唯一の代理人は、REACH規則に適合している成形品をわが国から再輸入するわけですから、EUサプライヤーが貴社に提供していた情報をそのまま提供してもらえば、特に問題はありません。