EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
成形品に含まれるcandidate list に記載されたSVHCについては、物質の届出(第7条2)および情報伝達の義務(第33条)があります。
届出および情報伝達の義務は貴社製品の輸入者にありますが、貴社より必要な情報を輸入者に提供しなければなりません。貴社の国内の仕入先には、情報伝達の法的義務はREACH規則に定められておらず、仕入先からの情報開示はあくまでも貴社と仕入先との商取引契約によることになります。
成形品に含まれる物質の届出は、貴社のサプライチェーンを遡って、物質メーカーがその物質の用途について登録していれば適用除外となるので確認することが必要です。
成形品に含まれる15物質に関する情報伝達の義務はすでに発生しています。0.1wt%を超える濃度で含有している場合には、成形品の安全な使用に十分な情報(少なくとも物質名を含む)を、消費者の求めに応じ提供しなければなりません。また、成形品の受領者に対しても提供が必要です。いかなる場合でも(トン数などの免除条件はなく)、成形品に含まれるSVHCの名称に加えて、平均濃度(秘密保護のため濃度幅でも可)、安全な使用のために必要な情報を提供しなければなりません。
サプライチェーンの複雑性、成形品に含まれる物質の濃度に関する秘密性のために情報収集は困難となりがちですので、サプライチェーンとの十分なコミュニケーションが最重要となります。日本には川下ユーザーへの情報伝達の仕組みがないので、仕入先がREACH規則をよく理解できておらず、企業秘密の開示要求としてのみ捉えている場合もありますので、理解を得る状況説明も必要になります。
手順が示されています。詳細はガイダンス(環境省仮訳 成形品ガイダンス)を参照ください。
ここでは情報入手のステップに関して述べます。
◆第33条および第7条2が適用されるかのチェック手順
(1)SVHCに関する情報入手
EUでの遵法活動と証明の基本はデューデリジェンスです。すなわち、当然に実施すべき管理活動を積極的に遂行し、相当な注意を払ってあらゆる適正処置をとることや各ステップで適切なチェックをし、活動の記録を残すことがポイントとなります。
REACHには物質の有害性とリスクについて伝達することが重要な目的でもあります。多くの場合、サプライチェーンの関係者によってのみ情報入手可能ですので、貴社のサプライチェーンとのコミュニケーションを十分に行う仕組みをつくることが重要と考えます。
なお、関連する事項が 2008.12.26のコラム『川中企業への「SVHC」の情報提供要求について』にありますので、参考にしてください。