EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
CLP規則は、国連の「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」に適応させ、指令67/548/EECと指令1999/45/ECの枠組みを継承して、両指令を統合した「分類と表示と包装」の規則です。
指令67/548/EECと指令1999/45/ECは2015年6月1日に廃止され、それ以降はCLPが適用されます。
GHS導入による、指令67/548/EEC、指令1999/45/ECからCLP規則への主な変更点は表の通りです。
指令67/548/EEC、1999/45/EC | CLP規則 | |
---|---|---|
1.用語 | 調剤(preparation) | 混合物(mixture) |
リスク警告文(risk phrases) | 危険有害性情報 (hazard statements) | |
[GHSに対応するリスク警告文がないもの] | 補足危険有害性情報 | |
安全勧告文(safety phrases) | 注意書き (precautionary statements) | |
2.分類区分 | 物理化学的危険性:5分類 毒性的危険性:9種類 環境への危険性:1分類 合計;危険分類15分類 |
物理化学的危険性:16分類 健康に対する有害性:10分類 環境への有害性:1分類 オゾン層への有害性:1分類(GHSにはない、EUの追加された分類) |
3.分類の調和 | 加盟国提案により、すべての危険性分類で調和 | 呼吸器感作性およびCMRは調和。 他の危険有害性についてはケースバイケースで調和、附属リストに収載。加盟国および製造者、輸入者の提案。 |
4.分類と表示のインベントリー | ― | ・1t以下でも分類と表示の届出の義務(2010年12月1日より)。 ・ECHAは分類と表示のインベントリーの作成。 |
なお表の3、4項については、REACH規則の第XI編(112条〜116条)の規定がCLP規則に移行されたものです。
また、SDSはREACH規則でGHS対応の規定となっています。
CLP規則は経過措置として、物質には2010年12月1日から、混合物には2015年6月1日からそれぞれ適用されます。
これに伴い、SDSの分類の記載では以下の対応が必要となります(REACH規則31条の修正)。
(1)2010年12月1日から2015年6月1日
物質のSDSには、CLP規則と指令67/548/EECの分類の記載が必要。
(2)2015年6月1日以降
物質、混合物ともにCLP規則の分類を記載。
なお、それぞれの適用日前でも、CLP規則を用いることができますが、この場合、次の注意が必要になります。
(1)分類とラベル表示を指令67/548/EEC、指令1999/45/ECにより行なう場合
SDSには、指令67/548/EECと指令1999/45/ECの分類の他にCLP規則による分類を併記してよい。
(2)分類とラベル表示をCLP規則により行う場合
SDSには、物質、混合物とその成分について、CLP規則と指令67/548/EECおよび指令1999/45/ECの分類を記載することが必要。