EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
CLP規則では、分類のための新たの情報を創出ための規定は第8条に設けられています。その規定では、物理化学的危険性に関してはCLP規則の附属書Iパート2で規定している試験を実施する必要があります。他方、健康や環境への有害性に関しては試験をすることは義務付けていません。この場合、REACH規則の附属書XI Section1で定められて、既存のデータや、GLPによらないデータ、(Q)SAR、リードアクロス等の方法を活用することになります。直接的に既存データを適用できない場合には、専門家の判断を求めています。既存のデータ等を活用するあらゆる手段を尽くしても試験が必要な場合には、試験をしても良いことにはなっています。ただし、動物試験に関しては、信頼性のあるデータを得られる方法が他にない場合にしか実施出来ません。特に脊椎動物を用いた試験は、REACH規則では厳しく規制する条項が設けられており、登録に当たっても試験計画を提出し、審査が行なわれ、一物質について一回しか実施されません。
また、CLP規側の届出で要求されている情報の中で、分類が出来ない場合には、その理由として、データ不足によるためか、確定的でないデータのためか、分類のためには不十分であるが最終的な結果であるかの何れであるかを示すことが必要です(40条1項(d))。
すなわち、既存の利用可能な情報を活用し、もし試験で得られた新たな情報があれば、それらを評価して、適切な分類・表示を決定し、届出の要否を判断する必要があります。ただ、ポリマーについては、上記で説明しました健康と環境への有害性に関しては利用できるとデータが多くあると思いますので、それらを活用できるのではないかと推察します。
ポリマーにはREACH規則における登録義務はありませんが、CLP規則で危険有害性に分類されるポリマーやその混合物は安全性データシート(SDS)の提供や分類の届出が必要となります。また、届出は、REACHの登録で認められている唯一の代理人は行なえず、EUの輸入者の義務となります。従い、届出が必要な場合は、必要な情報を輸出先に提供する必要があります。
CLP規則は2009年1月20日に発効していますが、移行期間が設けられており、物質については2010年12月1日から、混合物については2015年6月1日から適用されます。
ポリマーは「1種類又はそれ以上のモノマー単位の連続により特徴付けられる分子により構成される物質」と定義されますので、ポリマー自体は物質の扱いとなります。したがって、貴社が輸出するポリマー製品につきましては2010年12月1日までに対応する必要があります。