EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則における混合物および成形品はつぎのように定義されています。
混合物:2つまたはそれ以上の物質からなる混合物(または溶剤)
成形品:生産時に与えられる特定の形状、表面またはデザインがその化学組成よりも大きく機能を決定する物体
REACH規則における混合物と成形品のどちらに区分するかの判断方法については、「成形品中の物質に関する要求事項に関するガイダンス」(ドラフト2.2版)に判断フローや個別製品の具体例等が記載されています。
製品が両者のどちらに該当するかは、主として製品機能が「化学組成」と「形状・表面状態・デザイン」のどちらに左右されるかで判断されます。
ご質問にあるプリプレグは、シート状、テープ状、繊維状などの形状を持って炭素繊維と樹脂が一体化したものであり、カットや積層、ワインディング等の、化学反応を伴わない軽加工によって最終製品を製造するものとしますと、化学組成よりも、形状・表面状態・デザインが最終製品にとってより重要であると考えられるため成形品であると判断はできます。
プリプレグを扱う業界団体である炭素繊維協会により2008年11月に公開された「EUの新規化学物質規制(REACH)への対応 炭素繊維および炭素繊維製品に関するガイドライン 第3版」では成形品として位置づけられています。
ただし、炭素繊維協会のガイドラインでは「混合物と成形品との境界線上にある製品の判断は個々のケース(製品)について検討を要する」との注記が記載されています。例えば、最終製品を製造する加工過程で、プリプレグの樹脂成分が化学反応を起こすのであれば、そのプリプレグにとって化学組成がより重要であり、混合物として判断される可能性があります。そのため、一部企業ではプリプレグを混合物として扱うことが必要な旨が示されている例もあります。
結論としましては、貴社が扱うプリプレグの特性、最終製品にするための加工条件等をもとに、上述したREACH規則のガイダンス文書や業界団体のガイドライン等を参考にしながら独自に判断する必要があります。また、最終判断はECHAに確認することも必要かと思います。