EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則は、基本的にEU域内の製造者、輸入者に適用されます。輸入される混合物に認可候補物質リストに掲載されている高懸念物質(以降、SVHC)が含有されている場合の対応について以下3点から考察いたします。
まず、1の登録義務ですが、混合物に年間1t以上含まれている物質は登録の対象となります。当該物質が川上企業で登録されていない場合は、輸入者もしくは貴社が任命した唯一の代理人による未登録物質の登録が必要となります。
つぎに、2の情報伝達義務については、REACH規則第31条で規定されていますます。以下のいずれかに該当する場合は、受領者にSDS(安全性データシート)の提供が必要になります。
(1)物質、混合物の提供者は、以下の場合には附属書IIに従った安全性データシート(SDS)を物質、混合物の受領者に提供しなければなりません〔REACH規則第31条(1)〕。
(2)混合物が指令1999/45/ECの第5条、第6条および第7条に従い、危険性としての分類基準を満たさないが以下の物質を含む場合、供給者は受領者にその要求によりSDSを提供しなければなりません〔REACH規則第31条(3)〕。
また、分類の結果、危険性を有する物質、混合物には、該当するラベル表示を行う必要があります。
なお、1999/45/ECの基準は、2015年6月15日にCLP規則に移行されます。CLP規則については、Q&A204もご参照ください。
最後に、3の分類と表示の届出義務について説明します。
REACH規則第XI篇(分類・表示インベントリー)の条項は、CLP規則の発効に伴い廃止されCLP規則に移行されています。
つぎの物質には分類・表示のECHAへの届出義務が、EU域内の製造者、輸入者に課せられています。
(1)登録対象物質。
(2)指令67/548/EEC第1条の範囲内の物質で危険性としての分類基準に該当する物質自身、または関連する場合、指令1999/45/ECに規定された混合物の危険性分類基準の濃度限界値を超えて混合物中に含まれて上市される物質。
SVHCには、CMR、PBT、vPvB物質がリストされますので、貴社の混合物中にSVHCが0.1%以上含有されていましたら、貴社の輸出先では、分類・表示の届出が必要になります。
また、SVHCは一定の手続き(パブリックコメント、その他)を経て、認可対象物質として附属書XIVに収載される場合があります。認可対象物質となり附属書XIVに収載された場合は、貴社の輸出先では、使用の用途ごとに認可申請手続きを行うことにより、使用許可(認可)を得る必要があります。その場合の認可は期限が限定されて与えられます。その期限以降も引き続き上市するためには、一定期間内に再度認可申請を行い、認可を得る必要があります。
なお、認可候補物質の情報として、6月25日付けコラムにも記載がありますのでご参照ください。