EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
まず、CLP規則での分類の届出義務について整理します。CLP規則では、39条において分類の届出義務の対象を以下のように規定しています。
すなわち、届出は、物質について必要ですが、混合物については必要ありません。
なお、ラベルやSDSで求められるCLP規則による分類は、物質については2010年12月1日から適用されますが、混合物については2015年6月1日からの適用になります。
つぎにご質問のCLP規則での物理・化学的なハザードの分類については、第8条2項において以下のように規定されています。
CLP規則第8条2項(回答者抄訳)
「何らかの物理・化学的ハザードを有するかどうかを判断する目的のために、製造業者または輸入者は適切で信頼性のある情報がもはや利用可能でない場合には、CLP規則の附属書Iパート2で要求される試験を実施しなければならない」
すなわち、既存の信頼できる情報を利用して、CLP規則の附属書Iパート2の判断基準に従い、混合物を分類できる場合があると考えます。また、CLP規則付属書VIIには「指令67/548/EECに基づく分類からCLP規則に基づく分類への変換表」が掲載されています。
指令67/548/EEC、指令1999/45/ECでは、物理・化学的ハザードは5分類で、CLP規則の16分類に増加していますので、直接変換できない分類はありますが、指令1999/45/ECによる混合物の分類データがあれば、この変換表を利用できる場合があると考えます。なお、ご指摘の指令1999/45/ECでは代替計算法による分類については、有機過酸化物や気体混合物の酸化性、可燃性の分類で規定されていますが、この内、CLP規則の分類に直接利用できるのは、酸化性気体のみとなります。
物質が物理・化学的ハザードを有している場合の混合物の物理・化学的ハザードを、CLP規則附属書IIパート2の基準により判断できない場合には、試験が必要になると考えます。
なお、混合物中を構成する成分の物質が持たない物理・化学的ハザードについては、当然、混合物はその物理化学的ハザードを持ちません。