EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
CLP規則とは、EUにおいて2008年12月31日に公示された物質と混合物そして火薬等の爆発性のある成形品の分類(Classification)、表示(Labelling)および包装(Packaging)に関する規則です。EUの既存の分類・包装そして表示システムを定めた「危険な物質の分類、包装および表示に関する指令(67/548/EEC)」と「危険な調剤の分類、包装および表示に関する指令(1999/45/EC)」を統合したもので、国連が勧告している「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)」を導入する形で制定されています。 化学物質の危険性分類、包装、表示は化学物質を安全に輸送・使用するのに必要不可欠なものです。CLP規則は以下の義務をEU域内の製造者および輸入者(供給者)に課しています。
EU域内市場の人間の健康と環境の高レベルの保護を実行することと、同時に基準の調和によるEU域内における化学物質の自由な移動を目的としてCLP規則は制定されました。
2002年にヨハネスブルクで開催された持続可能な開発に関する世界サミットで、各国が2008年までにGHSを導入することを目標とすることが定められました。それに基づきEUはGHSを導入した新規則であるCLP規則を制定ことに決定しました。その新規則によりEUは人間の健康や環境を保護すると共に国際間の取引を促進することを目指しました。
放射性物質等の一部の除外事項(CLP規則第1条2項参照)はありますが、CLP規則ではEU域内で製造・輸入されるほぼすべての化学物質が適用の対象になるとされています。 REACH規則では年間1t以上EU域内で製造・輸入される物質が登録対象となりますが、CLP規則では化学物質(物質や混合物)を取り扱う労働者や消費者に対しラベルにより注意を促す意味から数量的な制限は設けておらず、年間1t以下でも適用の対象となります。 また、REACH規則では登録対象とされていないポリマーついても分類を行い、危険性があると分類された場合に届出するなどCLP規則の適用対象は広がりがありあります。
CLP規則では、EU域内で製造・輸入される化学物質に関しては上市される前に危険性分類をおこなうこととされています。 CLP規則の附属書VIにはCLPにより分類された危険化学物質の一覧表(表3.1)と指令67/548/EECにより分類された危険化学物質の一覧表(表3.2)が掲載されています。表3.1、3.2に収載された物質の分類は、EU域内で調和された分類です。 表に記載された危険性分類でラベル表示や混合物の分類を実施しなければなりません。この一覧表http://ecb.jrc.ec.europa.eu/classification-labelling/clp/はWebからダウンロードできますし、Webの「Search Annex VI」からCAS番号で検索して危険性分類を確認することも可能です。
化学物質(物質および混合物)はCLP規則の基準に基づいて分類されることになります(混合物に関しては2015年6月1日までは指令1999/45/ECに基づいて分類し、CLP規則による分類は2015年6月1日以降)。これらの基準に従って、物質や混合物が有害性を持つと判断された場合には、EU域内の供給者は欧州化学品庁(ECHA)に物質や混合物を有害性とする混合物中の物質に関する以下の情報を届け出る義務を負います。