EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
SVHC等が認可対象候補物質リストに収載された物質である場合と、制限対象物質である場合に分けてお答えします。
まず、上市後にCandidate List(認可対象候補物質リスト)に収載された物質であることに気付いた場合の対応ですが、REACH規則ではSVHCに特定される物質が製品中に0.1wt%以上含有する場合には以下の通り種々の義務があるため、製品中のSVHCの濃度を確認する必要があります。
濃度は成形品全体の重量を分母に、含有しているSVHCの量を分子にして重量比で計算します。なお、梱包材などは成形品とは別途に計算します。
0.1wt%以上含有する場合の義務と対応は以下の通りです。
また、成形品中のSVHCの輸入量の合計が輸入者あたり年間1tを超えると届出の義務があります。ただし、対象のSVHCがすでに同一の用途で登録されている場合には、新たに届出の義務は生じません。
年間トン数は、EU域内の製造者または輸入者ごとに、年間で取り扱っているすべての成形品に含まれる重量比0.1%超のSVHCごとに含有量を合算し、同一のSVHCの量が年間で1tを超えるかどうかで判断します。
届出は、対象物質がCandidate Listに収載された日から6カ月後までに行う必要があります。2010年12月1日以前に収載された物質の場合は2011年6月1日までが期限となっており、まだ間に合いますが留意は必要です。
ECHA(欧州化学物質庁)のウェブサイトのREACH-ITを通じて手続きを行う必要があります(手続きの詳細はQ&A273をご参照下さい)。
上市後に製品に含まれる物質が新たにCandidate List(認可対象候補物質リスト)に収載された場合には、すでに市場に流通している製品に関する情報提供が必要です。
リスク管理に影響を及ぼすかもしれない新しい情報、または有害性に関する新しい情報が利用可能となった場合には、REACHでは供給者は直ちに情報伝達することを求めています〔REACH規則第32条3項(a) 〕。
すでに市場に流通している成形品の在庫を含めて、川下企業に対して安全取引情報を提供する義務が生じるため、早急な対応が必要となります。
極めて懸念が高い物質(REACH規則 附属書XVII「ある危険な物質、混合物および成形品の製造、上市および使用の制限」にリストアップ)の場合には、上市または使用が制限されます。
附属書XVIIに収載されている物質で記載されている制限の条件での使用が確認されれば、状況によりリコールが必要になります。