EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
中国版REACHといわれる「新化学物質環境管理弁法」が改正され、2010年10月15日から施行されています。中国へ新規化学物質やそれらを含有する製品等を輸出する場合には注意が必要です。
ご質問の「中国版REACHとEU REACHとで大きく異なる点」は以下の通りです。
EU REACHでは、既存化学物質も新規化学物質も区別なく、企業ごとに年間1t以上の場合に登録義務がありますが、中国版REACHでは全ての新規化学物質に適用されます。既存化学物質の場合は適用されません。
中国版REACHで新規化学物質は、「現有化学物質名録」に収載されていない物質とされています。
「現有化学物質名録」はウエブサイトで検索可能です。
ただし、リストに収載されていない場合がありますので、登記センターに問い合わせてリスト収載の有無を確認できます。既存化学物質の場合は中国版REACHの登記の義務はありません。
EU REACHの登録に相当する義務として、中国版REACHでは「申告」の義務があります。
申告には以下の種類があり、年間1t未満でも必要です。したがって、サンプルの中国への輸出や研究用の化学物質のような少量の取扱量でも対象になることに注意が必要です。
要求されるデータのうち特に注意が必要なのは、生態毒性試験データについて通常申告、簡易申告でも中国国内の試験所で中国の試験生物を用いて試験データが要求されていることです。
EU REACHではポリマーそのものの義務はなく、ポリマー中の2%以上の構成モノマーについて登録義務を課しています。
他方、中国版REACHでは新規モノマーが2%以上のポリマーについて通常申告の義務を課しています。また、新規モノマーが2%未満のポリマーについても、ポリマーの成分モノマーが全て既存化学物質の場合で、ポリマーそのものが「現有化学物質名録」に収載されていない場合、「簡易申告」をする必要があります。
また、低懸念ポリマーである場合は生態毒性データの提出は免除されます。
EU REACHでは、登録されている物質でもその事業者が登録していなければ、年間1t以上になれば既存化学物質、新規化学物質に関わらず登録が必要です。
他方、中国版REACHでは新規化学物質として登記後5年間は「現有化学物質名録」には収載されません。従い、その間は登記物質でも他の事業者は申告が必要です。「現有化学物質名録」に収載後は登記の必要はありません。なお、新規化学物質が「重要環境管理危険類新規化学物質」に分類された場合は、異なる用途ごとに登記が必要です。
簡易申告、科学研究記録届出申告の場合は「現有化学物質名録」に収載されません。
以上の他にも、細部にさまざまな相違点がありますので、必要に応じて同法の原文をご参照下さい。
【参考】
●新化学物質環境管理弁法(和訳)-化学物質国際対応ネットワークウエブサイト
●中国版REACH:新規化学物質環境管理弁法について(1)
●中国版REACH:新規化学物質環境管理弁法について(2)
●中国版REACH:新規化学物質環境管理弁法について(3)