EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則ではSVHCに関して以下の届け出(7条2項)や情報伝達(33条)の義務があります。
以上のように、これらの義務はSVHCの含有率(濃度)が「重量比0.1%を超える場合」に生じることとなり、条文(原文)では以下の表記となっており、ご質問の小数点2桁目を四捨五入するのは意味のない処理であることがわかります。
( 7条2項)above a concentration of 0,1 % weight by weight (w/w)
(33条) in a concentration above 0,1 % weight by weight (w/w)
また、有効数字は「測定結果などを表わす数字のうちで位取りを示すだけのゼロを除いた意味のある数字」(JIS K0211)であり、測定器で測定し得る量の有効な桁数の数字です。一般的に、測定機関が表示したデータは最小桁まで有効数字と見なせます。有効数字の桁数は、測定方法や測定機の精確さで決まり、最小桁の数字まで意味を持ちます。
したがい、末尾を四捨五入でまるめるものではなく、ご指摘の小数点2桁目を四捨五入するのは、有効桁数を意識したものでない限り適切な対応といえません。
さらに、「成形品中の物質の要求に関するガイダンス」でも、例題で届け出や情報伝達の義務がない結論として以下の文章が記載されており、ここでも重量比が0.1%を超過したときに、届け出や情報伝達の義務が生じるこがわかります。
"Conclusion: The average concentration of the SVHC in the chair does not exceed 0.1%(w/w). Obligations according to Article 7(2) and 33 do not apply."
※「成形品中の物質の要求に関するガイダンス」21ページに記載の"4.4. Determination of the concentration of a SVHC on the Candidate List in articles with different components"の"Example 7: Calculation of the average concentration of a SVHC in an article"から引用
では、実務の現場では測定した重量比が限りなく閾値に近い状態でこれを超えている場合が想定でき、0.1%をどの程度超えれば「0.1%超」と判断できるのでしょうか。31条(「安全性データシートに対する要件」)3項では、以下のとおりSDSの提供が要求されており、これを参考にすれば0.1%「以上」の重量比で上記の義務が生じると考えられます。
危険な調剤の分類、包装および表示に関する指令(1999/45/EC)により、危険な調剤(混合物)に分類されない混合物であっても下記要件に該当する場合は、川下企業からの要求があればSDSを提供する必要がある。