EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ご質問のREACH規則における物質および成形品の義務の違いについて以下にご説明します。
物質の場合はEU域内の取扱量(製造量・輸入量の合計)が年間1t以上の場合は登録する必要があります(REACH規則第6条)。
成形品の場合は、成形品中の意図的放出物質(製造者が意図的に計画して放出し、かつ成形品の最終使用の機能に直接関与しない物質、たとえば匂い付き消しゴムの香料)が年間1tを超える場合で、意図的放出物質が同一用途でサプライチェーンの上流で登録されていない場合は登録が必要となります (REACH規則第7条1項)。
(1)物質が以下の要件に該当する場合、安全性データシート(SDS)の提供義務があります(REACH規則第31条)。
物質には届出義務は適用されませんが、成形品には以下の条件に該当する場合届出が必要となります(REACH規則第7条2項)。
(1)成形品中のSVHCが生産者または輸入者当たりで合計して年間1トンを超える量である
かつ
(2)成形品中のSVHC濃度が重量比0.1%を超である
ただし、以下の要件に該当する場合は、届出が除外されます。
(3)生産者または輸入者が、廃棄を含む通常のまたは予測可能な使用条件下で、人または環境へのばく露を排除できる場合(第7条3項)
(4)その用途について既に登録されている物質(第7条6項)、この場合は濃度が0.1%を超え、輸入者あたり年間1tを超えている場合であっても届出は除外される
REACH規則附属書XVII「ある危険な物質、混合物および成形品の製造、上市および使用の制限」に収載されている物質および制限対象物質を含む成形品は使用条件等が定められており、制限の条件に該当する場合、製造、上市、使用が禁止されます。
REACH規則附属書XIVに収載される認可対象物質を使用する場合は認可申請を行い認可されない限り使用や上市が禁止されています。
認可申請では、物質名称、申請者名称・連絡先、認可を求める用途の特定などの情報を提出します。
なお、「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス」によれば、EU域外で製造されたSVHCを含む成形品を輸入する場合は、認可が不要とされています。しかし、先述のように、輸入された成形品であっても、成形品に含まれるSVHCの濃度が重量比0.1%超であれば、情報伝達義務がありますし、成形品中のSVHCが重量比0.1%超でかつ年間1t超であれば届出が必要となります。