EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
貴社のEU域内の現地法人が輸入している物質の購入先を、現在登録も予備登録もしていない別の購入先に順次切り替える際の留意点を以下にまとめます。
新たに切り替えを検討しているEU域外の製造者は、現時点で物質を登録も予備登録もしていませんので、登録や予備登録していない物質はEU域内では製造も輸入もできないため、唯一の代理人を指名して登録または遅延予備登録を行うことを要請する必要があります。
登録対応が難しい場合は、貴社がそのEU域外の製造者に登録支援を行うか、貴社のEU域内の現地法人が自らまたは「第三者の代理人」を通じて登録または遅延予備登録を行うことが必要となります。
貴社の現地法人の輸入量は、現在年間95tとのことですので、物質がCMR物質(発がん性、変異原性、生殖毒性のカテゴリー1および2に分類される物質)でなければ段階的導入物質として遅延予備登録が可能です。
遅延予備登録を行えば、貴社の現地法人の総輸入量で、年間100t未満、1t以上であれば、2018年5月31日が登録期限となります。
なお、製造または輸入を開始してから6カ月以内が遅延予備登録の期限となります。
年間100t以上の遅延予備登録の登録期限は2013年5月31日となっていますが、その登録期限の12カ月前までが遅延予備登録の期限のため、現時点では年間100t以上の登録はできません。
今後、輸入量を増やしていきたいとのことですので、段階的導入物質の場合には年間100t以上となると本登録が必要となります。
なお、年間数量は、3年以上連続して輸入している段階的導入物質の場合は直近の3年間の平均値を年間数量として算出します。その算出した平均値が100tを超えた時点で、その後に平均値が100t以下になっても、100t以上の登録期限が適用されることになります。
予備登録をしている既存購入先と新たな購入先からの調達物質が同じスペック商品であっても、REACH規則の管理は違ってきます。新規購入先製品を貴社現地法人が輸入者として登録する場合は、輸入量及び販売先顧客に関する情報並びに第31条に記す安全性データシートの最新版の提供などの義務が生じます。
既存購入先と新たな購入先からの商品は別管理となります。
以上の留意事項を考慮しながら、新たな購入先候補との協議を行なっていくことが重要です。